『ワイスピ』登場車種は作品ごとにどう変化? 発売年や馬力などから考察
『ワイルド・スピード』という映画シリーズをご存知だろうか。2001年に第1作が公開されてから現在に至るまで、10作品(内1作品はスピンオフ)が公開されている。そんな『ワイルド・スピード』シリーズには数えきれないほどの車が登場する。いまでは「名車」と呼ばれるクラシックカーやマッスルカー、比較的最近発売された『90スープラ』もシリーズ内に姿を見せてくれた。
そんな多種多様な車が登場する『ワイルド・スピード』シリーズだが、ほぼ全ての作品に登場する『ダッジ チャージャー』など変わらずに登場し続けている車もいる。そこで今回は『ワイルド・スピード』シリーズにおいて、作品ごとに登場車種の販売された年や馬力、価格の移り変わりはどのようになっているのか、ふと疑問に思ったため、数値からわかることを記していきたい。今回対象とした作品は全10作品中9作品。スピンオフの『ワイルド・スピード スーパーコンボ』は対象から外して計算してみた。
今回の比較を行うにあたり、「平均値」と「中央値」という値を用いた。どちらも聞いたことのある言葉だと思うが、実は少し性質が異なることはご存知だろうか。例えば3人の1年間の所得を比べるとする。所得は1人目は500万円、2人目も500万円、3人目は5000万円だとしよう。平均値は(500万円+500万円+5000万円)÷3で2000万円となる。対して中央値は3つの値を昇順に並べた際、真ん中にくる値を選べば良いため500万円となる。どちらも「複数のデータの真ん中」といったイメージを持っている方もいるかもしれないが、2000万円と500万円といった大きな差になってしまう場合がある。こうなってしまう原因は「ハズレ値」にある。今回は3人目の5000万円が1人目と2人目の500万円に比べて、明らかに大きい値となっている。これがハズレ値だ。今回の例は極端だったが、平均値はハズレ値に影響されやすく、中央値はハズレ値に影響されにくい、といったことを踏まえてこの記事を読んでほしい。
だいぶ話が逸れてしまったが、本題に戻る。まず作品ごとの登場車種の販売年の平均を比較してみる。結果は下の画像のようになった。
画像を見ると、『ワイルド・スピード MAX(以下ワイスピ M)』は両脇の作品に比べ、数値が下にあること、そしてその『ワイスピM』から『ワイルド・スピード SKY MISSON(以下ワイスピ SM)』まではほぼ直線的に上昇していること、『ワイルド・スピード ICE BREAK(以下ワイスピ IB)』でもう一度下降していることがわかる。実はシリーズの時系列的には、『ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT(以下ワイスピ X3)』は『ワイルド・スピード EURO MISSON(以下ワイスピ EM)』と『ワイスピ M』の間に位置している。そして『ワイスピ M』から『ワイスピ EM』の3作品が『ワイスピ X3』の前日譚として作られることになったという経緯がある。『ワイルド・スピード X2(以下ワイスピ X2)』から『ワイスピ M』の間には「仕切り直し」のようなことが行われていたのだ。そう考えると、『ワイスピM』で急激に発売年の平均が下がっていて、『ワイスピ X3』では高めになっていることも納得できる。
また『ワイスピ IB』で数値が下がっていることについては、下がったのではなく、『ワイスピ SM』で上がりすぎたと読み取ることができる。特に『ワイスピ SM』ではアブダビのシーンで、『ブガッティ・ヴェイロン』や『フェラーリ458』といった比較的新しいスーパーカーが多数登場する。これが原因で『ワイスピ SM』の登場車種が販売された年の平均が上がったと考えられる。
もう1つ読み取れるのは、シリーズ全体を通して、平均値が中央値を下回っていること。ここから、年代が古めの車に比べて新しい車が多く登場していることがわかる。主人公がマッスルカーに乗っていることが多いからか、印象に残るのは年代が古めの車だが、シリーズ初期から積極的に年代が新しめの車を登場させていることがわかるだろうか。