ABSの有無で車の制動距離はどのように変化する? 海外YouTuberが実験
海外のYouTubeチャンネルで、車のABSの有無で制動距離がどのように変わるのかを実験した興味深い動画があるので、今回ぜひ紹介したい。そのYouTubeチャンネル名は「
Driven Media」(チャンネル登録者数25.9万人)で、該当の動画は2022年7月23日公開の「Can a Human BEAT ABS?」だ。
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)とは、車が急ブレーキをかけた時などに、タイヤの回転が止まるのを防止する装置。ABSにより、急ブレーキをかけている時でもタイヤがロックされないためハンドルを操作でき、人や障害物などを回避できる可能性を高められる。
まず前提としてお伝えしたいのは、多くのケースにおいて、ABSによって停止距離が短くならない点だ。国土交通省「自動車総合安全情報」によると、ABSがあっても停止距離に大きな変化はない、と説明されている(ただし、路面状況によっては停止距離に変化があるケースも)。そのうえで、本企画の内容を説明したい。
ABSに頼らない、人のみのブレーキ操作が、ABSがある状態の車に勝てるのかを実験するのが本動画の趣旨。具体的には、本企画の実験にレーサーが参加し、ABSの有無による制動距離(ブレーキを踏んでから完全に停止するまでの距離)の違いを計測する。使用する車は、マツダのロードスター。
まず、ABSありの状態で制動距離を3回計測すると「34.93メートル」「35.11メートル」「34.15メートル」で、平均34.73メートルとなった。続けて、ロードスターからABSのヒューズを取り外し制動距離を計測すると、1回目の記録は「40メートル」であった。2回目の記録も43メートルであり、ABSがない状態のほうが、制動距離が伸びていることがわかる。
レーサーの発言の内容を要約すると「左前のタイヤをロックして制動距離を短くしようと試みたが、ABSがない状態では、残り3つのタイヤのブレーキ性能を最大限活かせない」とのこと。その後コツを掴んだのか、3回目以降の制動距離は「37.5メートル」「38.5メートル」短くなるものの、結果ABSがない状態では平均39.66メートルであり、ABSありの34.73メートルよりも長くなる結果となった。なお、ABSに勝てなかったことに、レーサーは申し訳なく感じている様子だった。
(Source)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/car_h20/safetydevice/abs.html