『FINAL FANTASY VII』25周年。当時のキャッチコピーに隠された意味とは

『FINAL FANTASY VII』25周年!

 2022年1月31日は、PS用RPG『FINAL FANTASY VII』の発売から25周年の日だ。『FF』シリーズの看板タイトルといっても過言ではない本作は、2020年にはリメイク版が発売されたことも記憶も新しい。また、主人公であるクラウド以外のキャラクターにスポットを当てた派生作品などもリリースされている。『FINAL FANTASY VII』は、SQUARE ENIXにとっての切り札であり、いまなお世界中の多くのファンから愛され、注目され続けているタイトルといえるだろう。

 今回は、そんな『FINAL FANTASY VII』の思い出を綴っていく。ネタバレを含むので、これから本作を遊ぼうとしている方や、リメイクのストーリーしか知らない方は注意してほしい。

「星の生命」をテーマとしながらクラウドの内面にフォーカスした内省的なストーリーが展開

 『FINAL FANTASY VII』の魅力は、なんといってもストーリーの秀逸さにある。まずは簡単にあらすじを解説する。

 物語の起点となるのは、大都市ミッドガル。そこに本社を置く神羅カンパニーは、星の生命でもある「魔晄」を吸い出し、エネルギー源として利用していた。魔晄を独占していた神羅は、実質敵に世界の覇権を握っていた。しかし、魔晄エネルギーを吸い出すほど、星の生命はすり減っていくことになる。これに危機感を抱いた反神羅組織アバランチは、神羅カンパニーへの抵抗活動を繰り広げることに。

 クラウドは、そんなアバランチに雇われた凄腕の傭兵として、星の生命を巡る争いに巻き込まれていく。当初は星の行く末に興味がなかったクラウドだが、古代種の生き残りであるエアリスと出会い、かつて自身の故郷を滅ぼしたセフィロスが星の驚異となっていることを知り、考えを改めていく。しかし、クラウドにはある秘密が隠されていた……。

 『FINAL FANTASY VII』のストーリーの大筋は“星の生命”を巡るものである。本作が発売された1990年代は、地球温暖化や生物多様性の減少などを受け、環境問題への注目度が世界的に高まっていたという。人間生活のために星の生命を吸い上げるという本作の設定には、当時の時代背景も関係していそうだ。サスティナブルという考え方が広く知れ渡ったいま遊べば、当時とは違った感覚で物語に入り込めるかもしれない。

 このように、滅亡の危機に瀕した星を救うというストーリーラインは、壮大かついかにも王道RPGらしい。その一方で、『FINAL FANTASY VII』はクラウドの内面にスポットを当てたきわめて内省的な物語でもある。

 というのも、本編開始時点のクラウドは、とある事情により記憶が混濁した状態となっている。彼は自身を元凄腕ソルジャーと自任しているが、これも事実ではない。実は、彼の記憶は、とある人物の記憶と混ざり合ってしまっているのだ。しかし、あるとき彼の記憶が偽りのものであることが発覚してしまう。彼の記憶はなぜ狂ってしまったのか。彼の正体は何者なのか。自分を偽らざるを得なかった彼が、真実と向き合うことはできるのか。長い旅を通じて、クラウドが本当の自分を取り戻していく過程こそ、『FINAL FANTASY VII』の見どころといえるだろう。

 そして、クラウドの記憶には偽りがあった一方、真実も含まれていたというのが本作の面白いところ。ストーリーの途中でクラウドの回想シーンが描かれるが、ここに真実と嘘を織り交ぜた絶妙な伏線が張り巡らされているのだ。推理小説でよく見られる「信頼できない語り手」の手法を採りながらも、ファンタジーならではの設定を巧みに活かし、精緻に積み上げられたストーリーはプレイヤーの心を掴んで離さない。

 ところで、『FINAL FANTASY VII』のキャッチコピーをご存知だろうか。「君はもうクラウドになったかい」というものだが、これは単純に「FF VIIを遊んだかどうか」という意味としても捉えられる。しかし、実際には「クラウドが本当の自分を取り戻したかどうか」という意味も含んでいたのかもしれない。だとすれば、プレイ前後で意味が変わる秀逸なキャッチコピーだ。

一部のマテリアによって崩壊したゲームバランス

 『FINAL FANTASY VII』のバトルの特徴は「マテリア」にある。これは、マテリアと呼ばれるアイテムを武器や防具に装着するというものだ。マテリアを装着すると魔法やコマンド、パッシブスキルなどを使えるようになる。

 しかし、このマテリアシステムが使いようによってはかなり難易度を下げる要因になってしまう。たとえば、「てきのわざ」というマテリアを手に入れると、敵の攻撃を覚えることができるのだが、一部の技がかなり凶悪な性能を誇る。たとえば、ミッドガル脱出直後に覚えられる「マトラマジック」は、低コストながら敵全体に攻撃ができる。したがって、序盤はマトラマジックさえあれば雑魚敵との戦闘はほぼどうにかなってしまう。ほかにも、「ベータ」という「てきのわざ」は、強力な炎属性の全体攻撃で、その性能は「ファイガ」や「イフリート」を大きく上回る。このような強力な「てきのわざ」を覚えた瞬間、ほかの攻撃手段の価値が下がり、ゲームの難易度が大幅に下がってしまうのは評価の分かれるところだ。

 とはいえ、これらの「てきのわざ」はなんの前知識もなしにプレイすると習得できないことも多い。筆者も初めてプレイした小学生のときには「てきのわざ」をほとんど使うことがなく、ボス戦ではそれなりに苦戦した記憶がある。

 また、マテリアシステムは自由度が高く、やり込むことでキャラクターを大幅にカスタマイズできるという魅力もあった。たとえば、敵の攻撃を受けると自動で反撃する「カウンターマテリア」を8個装着し、敵の攻撃を1回受けるたびに8回のカウンターをする……といった、とんでもないカスタマイズも可能だった。

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