ゲーム業界、NFT採用に賛否両論? 転売目的が主な市場は1兆ドルに成長

ゲーム業界、NFT採用に賛否両論?

 近年急速に注目を集めるようになったNFT。ついに大手ゲームパブリッシャーも取り扱うようになる。NFT市場は拡大の一途をたどっているが、この市場を支えているのはゲーマーやコレクターではないようだ。

エネルギー効率の高いNFTシステム

 大手ゲームパブリッシャーのUBISOFTは8日、同社のゲーム「ゴーストリコン ブレイクポイント」PC版でNFTアイテムの提供を開始すると発表した。その発表によると、同社は自社開発したブロックチェーンプラットフォームであるUbisoft Quartzを活用して、同ゲーム内で使えるNFTアイテムを流通させる(トップ画像参照)。初期ベータ段階としてスタートするゲーム内NFTアイテムは「Digit」と総称され、以下のような3つの特徴を持つ。

・唯一性:それぞれのDigitにシリアルナンバーが付与されることで、唯一性が保証される。
・追跡可能性:すべてのDigitには過去及び現在の所有プレイヤーの名前が明記される。この特徴によりDigitが誰から誰に受け継がれたかという歴史や伝統が生まれ、その結果としてアイテムの価値が高まる。
・希少性:各Digitは、一定数のアイテムで構成されたエディションの一部としてリリースされる。つまり数に限りがあるので、その希少性により価値が高まる。

 以上のようなDigitはゲーム内で使えるほか、UBISOFTが認定したサードパーティのブロックチェーンプラットフォームであるrarible.comまたはobjkt.comを介してプレイヤーどうしで売買できる。

 なお、Ubisoft Quartzの運営にはProof-of-Stake(PoS)ブロックチェーンTezosが採用されている。PoSは消費エネルギーが少ないことで知られており、ブロックチェーンシステムが批判される一因となっている電力の浪費を回避している。

対応が分かれるゲームプラットフォーム

 上述したUBISOFTのDigitようなNFTをゲームに活用する事例は、近年増えている。史上初のNFTゲームと言われるのが、2017年にリリースされたピクセルアートを暗号通貨イーサリアムで取引できる「CryptoPunks」である。その後、育成要素が加わった「CryptoKitties」、モンスターをバトルさせられる「Etheremon」が登場した。日本国内の事例では、プラチナエッグが開発・運営する「CROSSLINK」がある。

 NFTゲームが台頭する一方で、ゲームが配信されるゲームプラットフォームでは対応が分かれている。ゲームメディア『IGN』が10月16日に報じたところによると、ゲームプラットフォームSteamを運営するValveは同プラットフォームの運営規約にNFTゲームの配信を禁止する規約を追加した。

 一方でEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOは10月16日、同社が運営するゲームプラットフォームEpic Games Storeでは関連する法律に従うことを条件として、ブロックチェーンを活用したゲームの配信を容認するとツイートした(以下のツイート参照)。ただし、同社自体はゲーム開発にブロックチェーンを利用しない、とも付け加えている。

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