フォートナイトが“戦わない”「パーティーワールド」をつくった理由 Epic Gamesが描くメタバースの未来とは

フォートナイトが「パーティーワールド」をつくった理由

 人気バトロワゲームのフォートナイトが、またひとつ新機能を追加した。この機能は、実のところ、同ゲームの基本的特徴であるシューティングにはあまり関係ない。一見すると非ゲーム的な新機能を追加した理由を探っていくと、同ゲームの開発元Epic Gamesが思い描く未来が見えてくる。

その空間には闘争はない

 Epic Gamesは1日、フォートナイトで「パーティーワールド」が作成可能になったことを同ゲームのニュース記事で発表した。その記事によると、パーティーワールドとは「プレイヤーがのんびりと過ごしたり、ミニゲームを楽しんだり、新たなフレンドを探したりできるようデザイン」された空間である。

 パーティーワールドの特徴を知るには、同空間を紹介した記事に書かれている「パーティーワールド作成のガイドライン」を読むとわかる。同空間をプレイヤーが自作する場合、以下のような事項にしたがう必要がある。

・パーティーワールドは戦う場所であってはならない。戦闘やダメージを与える行為がメインなコンテンツは望ましくない。
・パーティーワールドは自己表現の場所であるべきである。そのために、エモートやスプレー、コスチューム変更を有効活用するのが望ましい。
・パーティーワールドは交流の場所であるべきである。その場所に行けば、新たなフレンドを作ったり、すでにいるフレンドと友情を深められたりするのが望ましい。

 パーティーワールドの記事には、以上のようなガイドラインにしたがって作られたパーティーワールドの事例も紹介されている。そのなかのひとつには、深夜のラウンジを想起させるその名も「深夜ラウンジ」というものがある。

「深夜ラウンジ」

 以上のようなパーティーワールドを簡潔に表現すれば、「パーティーロイヤル」を自作できるようになった、と言えよう。パーティーロイヤルとはフォートナイト内にあるイベントスペースで、過去には米津玄師のバーチャルライブが開催された。

フォートナイトの音楽性を強化

 パーティーワールドの追加は、本来はバトロワゲームであるコンテンツにソーシャル空間を導入し、さらにはプレイヤーがソーシャル空間を自作して拡大できるようになることを意味している。バトロワゲームの進化とは直接的には関係しないパーティーワールドを追加した理由として指摘できるのは、近年Epicが推し進めているフォートナイトのメタバース化である。同社は、フォートナイトをバトロワゲームのひとつとしてではなく、プレイヤーがゲームだけではなく音楽や映画を楽しめるバーチャルなエンターテインメントの世界に進化させようとしているのだ。

 パーティーワールドの導入のほかにも、Epicはフォートナイトのメタバース化に向けた一手を指している。同社は11月23日、ゲームスタジオHarmonixを買収したことを発表した。その発表を報じたニュース記事によると、音楽ゲームで実績のあるHarmonixを買収したのは「メタバースの構築に取り組む際、音楽がどのように体験され、作成され、配信されるかを再考するために、Harmonixが持つ専門知識が必要」だったから、とのこと。

 また、Harmonixが買収に際して公開したブログ記事には、同社が次に取り組むこととして「Epicと協力して、フォートナイトのために音楽の旅とゲームプレイを作成する」と書かれている。

 以上よりEpicはHarmonixと協力して、フォートナイトに音楽コンテンツを追加し、さらにはプレイヤーが音楽コンテンツを自作して公開できる仕組みを導入しようとしている可能性があるだろう。

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