VR音ゲー『BEAT ARENA』体験レポ&インタビュー “楽器演奏のリアリティ”追求した制作背景に迫る
『BEMANI』シリーズを筆頭に、これまでも様々な音ゲー作品を世に送り出してきたKONAMIが、自社初となるOculus Quest専用VRバンド演奏ゲームを発表する。その名も『BEAT ARENA』(ビートアリーナ)。3月12日に「Oculus Quest」用に発売された。
「Oculus Quest」シリーズはPCに接続する必要がないスタンドアロン型のヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)で、廉価ながらもクオリティの高いVR体験ができるコストパフォーマンスのよさで2019年の登場以降シェアを拡大。昨年10月にはより廉価に高性能になった後継機種「Oculus Quest 2」が大ヒット。デジタルゲーム配信サービスSteamでは、2021年2月の時点でシェア率22%を超える、最も使用されているHMDとなった。VR入門にオススメのHMDと言っていい。
今回は、発売に先駆けて試遊させてもらった『BEAT ARENA』の感想をレポートしたい。
VRゲームの分野においても「音ゲー」は人気ジャンルとなっており、目の前に流れてくるキューブ状のノーツをライトセイバーのようなソードで斬っていく『Beat Saber』や、敵の弾丸をよけながらリズムに合わせて拳銃を撃つ『Pistol Whip』など様々なタイトルがある。中でも『BEAT ARENA』の特徴は、「VR空間でのバンド演奏」をテーマにしていること。多くのVRゲームは腕の動作でノーツを掴んだり、斬ったりする感覚的な操作が多いのに対し、『BEAT ARENA』は指の操作なども加えた楽器を弾くリアリティを追求していて、『BEMANI』シリーズを手掛けてきたKONAMIならではの作品になっている。制作スタッフ陣によると、開発にあたっては実際に『BEMANI』タイトル制作スタッフのサポートを受けたそうだ。
「『BEMANI』タイトル制作スタッフとは企画当初より相談させていただき、『BEAT ARENA』の制作にも大変お世話になりました。こちらのイメージを伝えて新曲を作っていただきましたし、要所要所で制作中のゲームをプレイしていただき、感想を参考にさせてもらいました」(以下、「」内の発言はすべて『BEAT ARENA』開発スタッフの方々へのメール質問の回答)
『BEAT ARENA』では、プレイヤーとしての自身のアバターを細かくカスタマイズした上で、ギター、ベース、キーボード、ドラムの4つの楽器の演奏が可能。Oculusタッチコントローラーのボタンやトリガーを頻繁に使用するため、腕の動きを中心にプレイすることが多い一般的なVRリズムゲーに比べて指を使用した新鮮な操作が多く、操作感はVRゲーというよりも音ゲーのアーケイドタイトルに非常に近い。また、同じ弦楽器でもギターでは腕を使ったストローク、ベースでは指弾きでのプレイが再現されるなど、楽器によって操作性が差別化されているため、同じ曲でも楽器によって大きく異なるプレイが楽しめる。
同時にVRらしく体の動きの微妙なニュアンスが反映される部分もあり、バーチャル空間で実際にその音を演奏している感覚が追求されているのも印象的だ。そういう意味で、『BEAT ARENA』は、『GITADORA』のようなリアルに限りなく近い演奏の楽しさを、VR空間上で体験できるタイトルだと言えるのかもしれない。難易度は「CASUAL」と「ADVANCED」の2種類が用意されており、プレイしたデータは、ホーム画面に当たるバックステージの巨大スクリーンに表示されたオンライン上のランキングに反映されていく。
「楽器演奏というコンセプトに対して、VR空間ではアーケードの筐体と異なり物理的なフィードバックがないので、どのようにして実際の楽器の演奏感を演出するかという部分で大変苦労しました。開発したスタッフには楽器経験者も多かったので、VR空間上で楽しく楽器演奏が出来るにはどうしたらいいか多くの話し合いを行ないながら制作しました」
収録曲としては、VRゲームで初めて『BEMANI』シリーズの楽曲を多数収録。現時点では当日プレイさせてもらった紅色リトマス「凛として咲く花の如く」やGITADOROCK by 大和「朧」など21曲が配信中。新曲としてBEMANI Sound Team "HuΣeR" feat.Fernweh「Accord」、駄々子「WONDER TRIP」も収録されており、今後については、少しずつ短いスパンでの楽曲配信が予定されている。少なくとも最初の3回は無料になる予定だそうだ。