VR音ゲー『BEAT ARENA』体験レポ&インタビュー “楽器演奏のリアリティ”追求した制作背景に迫る

VR音ゲー『BEAT ARENA』体験レポ

 そして、もうひとつ、この作品ならではの要素と言えるのが、バンドメンバーとの一体感を感じさせてくれる「ユナイトポイント」というシステムだ。

 『BEAT ARENA』では、4つの楽器の中から自身が演奏する楽器を含む3つの楽器を選択してプレイに臨む。そして、「ユニゾンノーツ」と呼ばれるノーツでは他メンバーと視線を合わせたりすることでポイントが加算されるなど、自分の演奏の正確性だけでなく、バンドとしての一体感もスコアに影響する。VRならではの没入感/臨場感を生かした演出だ。

 「本作では単純に『正確な演奏を行う』ということだけでなく、他のプレイヤーと『息を合わせてセッションする感覚』をコンセプトとして重視しました。そしてVRならではの没入感のある演奏体験において、他プレイヤーと『視線が合う』という感覚が、『息を合わせる』というコンセプトとマッチすると考えました。音楽ゲームとしての『正確な演奏』の評価軸(スコア)とは別に、セッション相手と息を合わせたり、人に魅せるプレイを意識してほしいという思いから『ユナイトポイント』という評価軸を設けました」

 同時に、「Crossover time session(クロスオーバータイムセッション)」も可能で、サーバ上にアップロードされた他プレイヤーの演奏データと、自身のリアルタイムでの演奏による時間軸を超えたセッションが開催可能。つまり、相性のよさそうなバンドメンバーを迎えて、自分だけのバンドで演奏することができる。自身のアバターも細かくカスタマイズできるため、ビジュアル面でも様々な角度からバンドの雰囲気を楽しむことが可能だ。また、自身の演奏を見返すことができる「リプレイモード」も実装されており、演奏者の視点で観覧する「ライブカメラモード」と、観客視点で楽しめる「パフォーマーモード」の2種類でプレイを振り返りながら、そこにタンバリンを加えたりすることもできる。共演したバンドメンバーが演奏終了後にホーム画面のロビーにも表れるのも、「バンド感」を盛り上げてくれる。

 試遊して何より印象的だったのは、こうした他プレイヤーとの連携要素で、『BEAT ARENA』では、全体のゲーム設計が様々な人々が集まってバンド演奏を楽しむコミュニティのような形で用意されている。当然、プレイヤー自身のやり込み要素は高い一方で、音楽を通してコミュニケーションを取ることの楽しさも盛り込まれているのだ。こうした試みが今後さらに進化していけば、VR空間上の新たな音ゲーコミュニティが生まれていくかもしれない。

 コロナ禍の今、なかなか頻繁に外に出て思いきり音ゲーを楽しむことも難しい。そんな人は、VRゲームの入門編として、『BEAT ARENA』をプレイしてみてはいかがだろうか。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■ゲーム情報
『BEAT ARENA』
メーカー:KONAMI
発売日:2021年3月12日
ジャンル:VRバンド演奏ゲーム
プレー人数:1人
メーカー希望小売価格:2,990円(税込)
対応機種:Oculus Quest、 Oculus Quest 2
著作権表記:©Konami Digital Entertainment
IARC汎用レーティング:3歳以上
『BEAT ARENA』公式サイト:https://www.konami.com/games/uuddlrlr-beatarena/jp/ja/

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