草なぎ剛の「ゲーム実況動画」が伸びないのはなぜ? その理由とおすすめのタイトルを考察
精力的に活動しているYouTuber草なぎ剛が、「ゲーム動画がなかなか見てもらえない」という悩みを吐露している。
ゲーム実況は決して「お手軽」というわけではないが、プレイするタイトルとプレイ内容(目標や“縛り”)さえ決まってしまえば、基本的に毎回企画を立てる必要がない。更新頻度も比較的上げやすく、またシリーズになれば毎回楽しみにする視聴者もつきやすいため、YouTuberにとっては心強いコンテンツとも言える。
しかし、確かに草なぎ自身が言うように、料理動画などに比べて、ゲーム実況動画はあまり伸びていないようだ。7月10日に公開された「【スーパーマリオオデッセイ#03】勝てるか!?ボスリベンジ!」は、18日時点で約5万再生。草なぎの知名度からすると、決してよく見られているとは言えない数字だ。余計なお世話ではあるが、その理由を考察してみたい。
前出の『スーパーマリオオデッセイ』の実況動画を観ると、プレイ中のトークが極めて少ないことがわかる。草なぎチャンネルの人気コンテンツと言える料理動画には「作業中の雑談を楽しみにしている」という趣旨のコメントも多く、必ずしも料理に興味がなくても楽しめる部分が多いが、ゲーム実況動画においては、ゲームに関心のない視聴者が置いてけぼりになってしまっている可能性がありそうだ。
プレイに集中している草なぎの姿は微笑ましく、また、勘がつかめるまでのガチャガチャプレイや、律儀にコインを集めていくところも、それはそれで面白い。しかし、決して見ているだけで感心するような「スーパープレイ」ではない。そうであるなら、求めたくなってしまうのは、“見せ場”以外での雑談や、まさにゲーム“実況”と呼ばれる所以である、ゲームに対する本人ならではの考察や、リアクションになってくる。もちろん、現状でもそれらの要素がないわけではないが、ファンでなければ、15分ほどの動画を興味を持って見続けるのは、少し難しいかもしれない。
断っておきたいのは、草なぎが決して視聴者をないがしろにしているのではない、ということだ。そもそも、一緒にワイワイとプレイする相手がいるならともかく、一人で「ゲームをしながら話す(不特定多数に向けて語りかける)」というのは、想像以上に難しい(実際に挑戦してみれば、トークかプレイのいずれかが疎かになることがすぐわかる)。特に、草なぎがプレイしている『スーパーマリオ』『マリオカート』などのアクション/レースゲームにおいては、どうしても操作に集中して黙る場面が増えるのは仕方がない。トークに頭を回しても自然に手が動くよう、ゲーム自体に慣れるのが近道な気がするが、多忙な身で連続したプレイ時間を確保するのは難しいだろう。
それならば、「雑談ができるゲーム」というところから逆算して、例えばサンドボックス型クラフトゲーム『マインクラフト』の実況に挑戦してみるのはどうだろうか。草なぎが度々リスペクトを語っているヒカキンも長年実況動画をアップしてきたタイトルで、説明不要の人気作ではあるが、こちらならば、アクション要素は比較的少なく(時折訪れるモンスターとの戦闘は、動画のアクセントになるだろう)、雑談に向いた“作業”の時間も多い。また、「ものづくり」の要素があるため、プレイヤーの個性も出やすい。草なぎがどんな場所に拠点を構え、どんな家をつくるのか、気になるファンもいるだろう。
さらに、『マインクラフト』はマルチプレイも可能なため、交流のあるYouTuberとゲーム内でコラボできる、というのも楽しそうなポイントだ。例えば、水溜りボンドのような優しい先輩YouTuberが30分ほど横について教えてくれれば、あまり器用ではない草なぎも、操作をマスターできるのではーーなどと想像を広げてしまう。
もっとも、ファンは草なぎ剛がやりたいことをする姿を求めており、草なぎ自身も「好きなことだけをやる」と明言している。その幸せなサイクルが出来上がりつつあるなかで、「数字がどうだ」と横からいうのは野暮でもある。ただゲーム実況の一ファンとして、草なぎ剛の実況動画が大きな盛り上がりを見せてくれる日を楽しみにしたい。
(文=橋川良寛)