『ちいかわ』の不憫さを際立たせるナガノの“意地悪センス” 映画版ならではの後味とは

「いじめたくなるほどかわいい」とはよく言ったものだ。アニメ『ちいかわ』の主人公・ちいかわは、私たちの胸の内に秘めておきたくなるような屈折した思いを刺激してやまない。
アニメ『ちいかわ』には、ちいかわが不憫な目に遭い、泣き出してしまうエピソードが数多く存在する。たとえば、第371話「流れ・スイカ②」では、美味しそうにスイカを食べるちいかわ、ハチワレ、うさぎの間に、モモンガが割って入ってくる。

ハチワレからスイカをもらったモモンガは、「種を、取りな」と言い、ちいかわにスイカの種を指でほじって取らせようとした。しかし、わがままなモモンガのことを良く思っていないちいかわは、眉をひそめた絶妙に嫌そうな表情で「ヤダ」と拒否。「取れ!」と迫ってくるモモンガに、ちいかわは「ヤダー!!」と全力で嫌がる。
最終的に、うさぎが種をプップッと吐き出して攻撃し、モモンガを止めたのだった。このエピソードは、自分が見つけたスイカを転がしていってしまったうさぎにナイスなツッコミを入れるモモンガや、スイカの種を飲む派なのにもかかわらず、ちいかわを助けるために種を噴射してモモンガを撃退するうさぎなど、それぞれのキャラクターの持ち味が詰まっている。

加えて、泣きながらジタバタと嫌がるちいかわの姿は不憫な反面、微笑ましく感じられるのだ。また、「あくむ編」では、不気味なゾウとのにらめっこに負けてしまったちいかわが、夜な夜な悪夢を見るようになる。ちいかわが草むしり検定の会場に遅刻しそうになったり、笑顔でピースするちいかわの右下に「以外」と書かれた合格者発表の紙を見て逃げ出したり……。
悪夢で飛び起きたちいかわは、思わずポロポロと涙を流してしまう。ちいかわが合格したかのように見せて、実は不合格だった……という“上げて落とす”展開は容赦がない。ちいかわに対する原作者・ナガノ氏ならではの“意地悪のセンス”がほとばしっている描写と言えるだろう。

アニメ『ちいかわ』には、「ちいかわが可哀想だけど面白い」という不思議な魅力がある。「なんとかなれーッ!」や「よろこびがない~……」などのセリフと並び、ハチワレの名言のひとつである「泣いちゃった!」も、我慢できずに泣いてしまったちいかわを受けて発せられるセリフだ。
追い込まれたちいかわの姿は、「なんか小さくてかわいいやつ」だからこそ愛おしく、どこか面白い。この面白さに嫌な感じがないのは、ちいかわが持つ独特の愛嬌のおかげではないだろうか。



















