『君の好きは無敵』“カッコ悪い”佐野勇斗にこそ惹かれる理由 不器用な恋が生み出す魅力

『君の好きは無敵』佐野勇斗のカッコ悪い魅力

 だが当然、杏奈にも怖さはあった。チュエラを信じる気持ちに嘘偽りはないが、もしも『全日本重工業』から追加発注がなければ、デザイン瀬尾は次のぬいぐるみを作ることもできずに事業停止、果ては倒産だ。不安にならないわけがない。事務所のブレーカーが直るまでの間、杏奈の部屋を作業場にしていた瀬尾は、たまたま彼女が押入れで暗い自作ソングを歌っている場面を目撃する。そこで初めて、いつも強気な杏奈の内側にある弱さを知るのだ。

 そして迎えた、約束の1週間後。当日も不安を隠せない杏奈に、瀬尾は「俺はチュエラを信じる。ていうか、俺たちが信じなくてどうすんだよ」と力強く声をかける。そう言う本人も緊張のあまり足をつっているのだから、何とも瀬尾らしい。痛みに耐えながら、「いける、絶対にいける……」と念じつつ会議室へと向かう瀬尾は、かっこ悪くて、かっこいい。その相反する2つを両立させられるのは、佐野勇斗だからこそだ。杏奈もそんな瀬尾の姿に励まされたのではないだろうか。

 肝心の『全日本重工業』からの回答は、「何かが劇的に変わったという事象は起こらなかった」というものだった。しかし、チュエラをきっかけに若手社員との雑談が生まれ、そこから部署の改革案を聞くことができたという。どうやらチュエラは、世代や立場を超えて人と人をつなぐコミュニケーションツールとしての役割を果たしたようだ。その価値が認められ、なんと1000体もの追加発注が決定する。

 一方で、あれこれ理由を並べながらも、チュエラを愛おしそうに抱く幹部たちの姿も印象的だった。きっと彼ら自身も気づかないうちに、その存在に癒やされていたのだろう。「ただ支える」というコンセプトが、彼らにも確かに届いていた何よりの証拠である。

 かわいいキャラクターは、何も子どもや女性だけのものではない。年齢や性別に関係なく、誰かの日常に寄り添い、心をそっとほぐしてくれるものだということを改めて認識させられた第6話。大の大人たちがぬいぐるみに群がる光景を、瀬尾は「男がかわいいものを好きなのはおかしい」と馬鹿にされていた子どもの頃の自分に見せてやりたいと思った。そんな瀬尾に、杏奈は「見せていきましょうね、そういう光景を。好きを言葉にできない、すべての人たちに」と声をかける。かつて自分が欲しかった光景を、瀬尾は杏奈と一緒につくっていくのだ。今は恋する小学生みたいで、杏奈にまったく恋愛対象として見られていない瀬尾だが、仕事ではすでに同じ未来を見つめる最高のパートナーになりつつある。このまま2人で歩みを重ねていけば、いつか瀬尾の「好き」が杏奈に届く日も来るのかもしれない。

 さて、デザイン瀬尾がチュエラとともに着実に前進する一方で、MERRYには暗雲が立ち込めている。人もキャラクターも自分が成功するためのコマとしか見ず、用済みになれば簡単に切り捨てる。そんな大三島のスタンスが、ここにきて自らの首を絞め始めていた。悪役ど真ん中を突き進む大三島が、いつか改心する日は来るのだろうか。

■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
声の出演:あの(シニカルモルコ役)
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs

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