『君の好きは無敵』松本若菜の“顔芸”と曲者役者陣 タレントのキャラを活かした”メタ配役”

『君の好きは無敵』の”メタ配役”の妙

 TBS系火曜ドラマ『君の好きは無敵』が、放送開始直後から大きな話題を集めている。

 本作は、「かわいい」や「好き」という感情に疎い元コンサルタント・草壁杏奈(松本若菜)と、自身が生み出したキャラクターを改変された過去を持つ偏屈なキャラクターデザイナー・瀬尾深月(佐野勇斗)が、世界的大ヒットキャラクターの誕生を目指すコメディ。これまでドラマではほとんど描かれてこなかったキャラクターを生み出し、育て、ビジネスへと発展させていくという「IPビジネス」を真正面から扱う意欲作だ。

 視聴者の「推し活」が一般化した今だからこそ、「好き」がどのように「価値」へ変わるのかを描くテーマ性は新鮮で、サンリオが取材協力しているだけに、劇中で描かれるクリエイティブの現場やライセンスビジネスの空気感にもリアリティがある。

 そんな本作を牽引しているのが、主演・松本若菜の振り切ったコメディ演技だ。第2話では杏奈の“大石内蔵助”姿や、本郷奏多による“吉良上野介”姿が話題となったほか、第1話から続く映画『シャイニング』のパロディ演出では、松本がドアの隙間から顔をのぞかせて顎を突き出す全力の“顔芸”を披露。SNSでは「なんだ、この顔芸」「体張りすぎ」「たまらん」「シャイニングすごい」といった声が相次ぎ、作品の名物シーンとなりつつある。

 シリアスな役どころも多い松本だが、この“顔芸”はけっして“キャラ変”ではない。2022年放送の『やんごとなき一族』(フジテレビ系)では、エキセントリックな義姉役として怪演を披露し、「調子に乗ってんじゃないわよ、雨後のタケノコがぁ!」など数々の名ゼリフとともに“松本劇場”として大きな話題を呼んだものだった。シリアスからコメディまで自在に行き来する演技の振り幅こそが、松本を唯一無二の存在へ押し上げた理由の一つだろう。本作でもその持ち味が存分に生かされ、作品の勢いを支えている。

 一方で、“キャラの立った”脇役陣の存在も見逃せない。キャラクタービジネスとは、本来、人やモノが持つ個性を「価値」に変える仕事である。本作では藤井隆、島崎和歌子、高嶋政伸、本郷奏多、金田哲(はんにゃ.)ら、アクの強い個性派が登場。意図的だったのかは不明だが、彼らがバラエティなどこれまでのキャリアで確立してきた世間のイメージと劇中の役柄をシンクロさせることにより、視聴者がドラマに引き込まれやすくなるという本作ならでの「メタ的配役」の妙が生まれている。

 さらに注目すべきは、ドラマの外側へ広がるビジネス展開だ。TBSは2022年の『君の花になる』の劇中ボーイズグループ・8LOOMを現実でも音楽活動を展開させ、ドラマ発アーティストという展開を実現。さらに、今年1月期の『DREAM STAGE』では劇中グループ・NAZEを軸に、ドラマとリアルなアーティスト活動を連動させるなど、ドラマから新たな価値を生み出す取り組みを積極的に進めてきた。『君の好きは無敵』は、その流れを受け継ぎながら、今度は「ドラマ×グッズ(IPビジネス)」という新たな領域へ挑んでいる。すでにオリジナルグッズ第1弾の販売が開始されているが、第1話で登場した主人公が過去に手掛けたライバル会社のキャラクター「シニカルモルコ」についても、「実際に販売してほしい」という声がネット上で続出。サンリオとのコラボ展開が期待されるところだ。

 画面の中で生まれたキャラクターを、現実のビジネスへとつなげていく――。『君の好きは無敵』は、ドラマを起点に広告以外の収益を上げる新たなモデルケースとしても注目が集まりそうだ。

■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
声の出演:あの(シニカルモルコ役)
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs

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