『ブラッサム』“珠”村上蘭を形作る“理不尽と愛“ “リョウ”国仲涼子に早くも別れの予感?

『ブラッサム』珠を形作る“理不尽と愛”

 NHK連続テレビ小説『ブラッサム』第2話が9月29日に放送された。

 第1話に続いて冒頭のシーンで、昭和57年の葉野珠(加賀まりこ)が映される。舞台は岩国の錦帯橋のたもと。珠が記者の取材を受けている。かたわらに秘書の藤川優子(松たか子)も控えている。

 85歳となった現在でも「暇だったことなんて1日もないわ」と多忙な日々を送る珠。小説の執筆だけでなく、雑誌の編集、着物のデザインまで「思いついたらすぐに始めたくなっちゃうの」。記者が珠の男性遍歴にズバッと斬り込むと「モテたのよ。私」とあっけらかんと答える。周囲の視線が厳しい時代、自分に正直に生きることに苦労もあったのではと聞かれ、「もちろん」と即答する珠。やや間があって「いろいろありましたよ」とつぶやく。その間、優子はじっと黙っている。

 取材旅行の里帰りで、故郷の桜に「私、ここの桜を見ると元気になるんです。生きてて良かったって思うのよ」と述懐する「岩国のスター」は終始上機嫌で、とても波乱万丈の人生を過ごした人に見えない。このパーソナリティはどのように形成されたのか。

 時代はさかのぼって明治41年(1908年)の岩国。第2話では、珠(村上蘭)と両親の関係を掘り下げていく。久しぶりに小学校へ登校した珠は利発な子どもであり、国語の授業で難しい文章もスラスラと音読する。その理由は、第2話の後半で明かされる。ちなみに教材は日本軍の活躍を記したもので、国威発揚が意図されている。

 綴方(つづり方、現在の作文に相当)の授業で、「父」をテーマに宿題が出されると珠は考え込んでしまう。父の清治(渡部篤郎)が問題のある人物であることは、第1話の描写から伝わってきた。働かず、馬に乗り、妻子に厳しく接し、近所からは「無頼者」と呼ばれる。良い面はこれから描かれるのかもしれないが、作文にするのがためらわれる生活態度だ。

 そんな清治の人間性を表すエピソードが挿入される。第1話で、雨の中、裸足でカナリアの餌を買いに行かされた場面に続き、リョウ(国仲涼子)が羽織を用意していなかったことに腹を立てて暴れ、鬼の形相になる清治。見かねた珠が間に入り、洗い張りしてそのままにしていたと弁明する。病気療養中のリョウは家事を十分に行えない。そのことを清治はわかっているはずだし、珠が継母をかばっていることは明白だが、罰として珠を蔵に閉じ込めた。

 横暴な父。しかし、珠は喜んでいた。じめじめして暗い蔵の中は、珠にとって「天国」で、積まれた新聞や雑誌を開いて、ありとあらゆるジャンルの小説を読みふける。国語が得意になるわけである。

「小説を読んでいる間、うちは嫌な気分を全部忘れることができるのです」

 そうやって夢中になって読んでいると、リョウがそっとやってきて「お腹すいたろう」と言っておにぎりと冷えないようにはんてんを差し入れる。親子の会話で宿題の話になり、何を書くか「ちんぷんかんぷんじゃ」と答える珠。清治については、リョウも「うちはここに嫁いだんじゃけ、思うても仕方ない」と諦めており、清治がひどい夫/父であることは、妻と娘の了解事項になっているようだ。

 その上で清治がどんな人間かについて、珠は「あんまりしゃべらんし、よう怒るし、ご近所からも、クズじゃ、ひどい奴じゃ言われちょる。けど、嫌じゃあない」と分析する。観察眼があり、自分を客観視できている珠。それを聞いて、リョウは正直に書いてみるように勧める。

 珠を実の娘のように思っているリョウ。なぜと珠は尋ねる。蔵という限定されたシチュエーションで、虐待される家族という共通項が、ふだん口に出せない胸のうちをあらわにする。実の娘かは関係ないと言うリョウに、「珠様」と呼ばなくていいと返す珠。初めて会ったときに「かわいらしゅうて、絶対大事に、特別大事にせんといけん思うたんよ」と理由を話すリョウは他人を愛せる人で、家族になった珠にことさら愛情を注いできた。

 第2話の時点で、主人公の人格形成のコアを丁寧に掘り下げる『ブラッサム』。理不尽さが日常にあり、逆境への耐性が培われる。同時に無償の愛を受け取るという両極端な環境が、ポジティブで愛にあふれた人生を導くのか。無限の優しさを放つリョウは病弱で、早くも別れの気配が漂っている。悲しみが少女の心に影を落とすだろうか。

■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK

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