『ラストノート』“執着”を描くドロドロ恋愛劇を分析 『昼顔』『あなして』との決定的な違い

さらに、本作を“ドロドロ恋愛ドラマ”たらしめているのは、その他俳優陣の好演、あるいは怪演だろう。坂井真紀演じる葵の親友・優子には、隠しきれない狂気が存在している。過去にも『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)で、水野美紀が敵対する妻役として見せた振り切った演技が話題となったが、本作でもそれに通じる狂気めいたものを感じる。第2話ラストに登場した優子は、赤いワンピースに大ぶりのイヤリング、短いボブヘアにカチューシャという出で立ちだった。そんな姿で「澄晴くん」と本名を呼ぶ優子は、なんとも不気味である。さらに、葵が「澄晴の本名を知った」ことを知らされた優子が発した言葉は、「悔しい」だ。葵に対してか、澄晴に対してか、愛憎渦巻く感情を堪えている。優子の澄晴への執着が、今後どのように変化していくのかも注目したいポイントだ。

こうした内田と寺西、そして脇を固めるキャスト陣によって、それぞれが持つ従来のイメージとのギャップが、『ラストノート』のドロドロさをより際立たせている。派手な修羅場や激しい愛憎劇だけが、ドロドロ恋愛ドラマではない。『ラストノート』では、ワンシーンごとに小さな違和感が積み重なり、それがやがて取り返しのつかない感情へと変わっていく。まるで、少しずつ濁っていく香水のように、気づけば登場人物たちの心も、そして視聴者の感情も静かに侵食されている。

三竿作品が描いてきた恋愛劇は、いつの時代も「人はなぜ理性より感情を選んでしまうのか」という問いを投げかけてきた。『ラストノート』もまた、その系譜に連なる作品でありながら、恋愛そのものではなく、恋愛に至るまでの傷や執着、人間の歪みを丁寧に積み重ねることで、新たな“ドロドロ恋愛劇”を生み出している。第3話以降、この危うい関係性がどこへ向かうのか。その答えを見届けずにはいられない。
■放送情報
木曜劇場『ラストノート』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜22:54放送
出演:内田有紀、寺西拓人、坂井真紀、桜井日奈子、草川拓弥、徳井義実、佐々木蔵之介ほか
脚本:的場友見
演出:相沢秀幸、中前勇児
プロデュース:三竿玲子
主題歌:椎名林檎「裸」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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