『風、薫る』実母判明が問いかける家族の形 『虎に翼』『ブギウギ』『なつぞら』と比較

『虎に翼』(2024年度前期)では、寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)が再婚し、それぞれの子どもたちと新しい家族の形を築こうとした。しかし、親たちが思い描く家族の形を優先したことで、子どもたちは不満や寂しさを抱えてしまう。そこで寅子たちは、無理に家族らしく振る舞うのではなく、一人ひとりが本音を口にするところから関係を築き直していった。一緒に暮らしているからといって、すぐに家族になれるわけではない。互いの気持ちを知り、少しずつ関係を築いていくことの大切さを描いた作品だった。
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令和の現代と地続き、なんなら、現代そのものと評判の朝ドラことNHK連続テレビ小説『虎に翼』の第21週「貞女は二夫に見えず?」では…ほかにも、『なつぞら』(2019年度前期)では、戦争で両親を亡くしたなつ(広瀬すず)を、父の戦友だった剛男(藤木直人)が北海道の柴田家に引き取る。最初から家族として受け入れられたわけではなかったが、牧場の仕事に励み、喜びや苦しみを分かち合う中で、なつは柴田家にとってかけがえのない存在になっていった。『おちょやん』の千代(杉咲花)は、父・テルヲ(トータス松本)に何度も傷つけられながらも、奉公先の岡安や道頓堀の人々、劇団の仲間たちに支えられて生きていく。血のつながった家族に居場所を奪われた千代が、芝居を通して出会った人々との間に、新たな居場所を築いていく物語でもあった。
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もともと柴田家の人々となつ(広瀬すず)の間には、いわゆる血のつながりがあるわけではない。とはいえ、今ではすっかり柴田家の1人とし…朝ドラはヒロインの半生を描くため、家族の形も物語の中で変わっていく。生まれた家を離れ、新しい土地で仲間と出会い、結婚や出産、別れを経験する。その中で、血縁のある家族だけでなく、仕事仲間や友人、近所の人々がヒロインを支える存在になってきた。困ったときに手を差し伸べ、間違えたときには叱り、帰る場所を作ってくれる。描かれ方は異なっても、いずれの作品にも共通するのは、血のつながりだけで家族が決まるのではなく、ともに過ごし、支え合う中で関係が築かれていくということだ。
文が実母だと分かっても、直美が長年抱えてきた寂しさや疑問がすぐに消えるわけではない。産んだことと、育てたこと。血がつながっていることと、そばにいること。それらは同じではないが、どれか一つだけが親の条件とも言い切れない。文には文の事情があり、直美には簡単には埋められない傷がある。すぐに許し合い、理想的な親子になる必要もないだろう。

直美が求めているのは、母親という肩書そのものではなく、自分がなぜ手放されたのかという答えだ。その問いに文がどう向き合うのか。そして2人は、血のつながりがあると知った上で、どんな関係を選び直すのか。『風、薫る』が描く親子の物語は、ここからが本当の始まりなのかもしれない。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















