朝ドラは“男女の友情”をどう描いてきた? 『風、薫る』島田&直美が築いた唯一無二の絆

他に男女の友情が成立していた例で、印象深いのは『虎に翼』(2024年度前期)のよね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)だろう。2人はヒロインである寅子(伊藤沙莉)が通っていた明律大学の同級生。「男は男らしく、女は女らしく」という保守的なジェンダー規範に固執し、「男と女は分かり合えない」と断言する轟によねは強く反発。当初はいがみ合うことも少なくなかった2人が、本格的に心の距離を縮めたのは戦後になってからだ。同じく同級生の花岡(岩田剛典)が亡くなったとき、轟がずっと心にしまっていた彼への思いを吐き出させてくれたのがよねだった。よねが轟の花岡に対する恋心に気づけたのは、彼女が「男だから、女だから」という固定観念から自由であろうとし続けてきたからだろう。以降、2人は同志のような関係となる。同作の中でも屈指の人気キャラクターで、のちによねを主人公とし、轟と一緒に法律事務所を立ち上げるまでを描くスピンオフ『山田轟法律事務所』も放送された。
『虎に翼』よね&轟の“最強タッグ”が誕生 “自分らしさ”に向き合ってきた2人の共通点
人一倍強い正義感を持ち、不器用。自身に対してストイックで自らの確固たるスタイルを持つ。そして人に弱みを見せることが苦手。そんな共…特殊な例で言えば、『おむすび』(2024年度後期)の歩(仲里依紗)と孝雄(緒形直人)の関係が挙げられる。歩はヒロイン・結(橋本環奈)の姉で、孝雄は2人の友人だった真紀(大島美優)の父。もともと気難しく頑固な性格だったが、神戸の阪神・淡路大震災で真紀を亡くして以降、ますます周囲に心を閉ざすようになった孝雄に歩は寄り添う。やがて靴職人としての情熱を取り戻した孝雄は、歩の依頼でギャルのためのカスタムシューズを作るように。真紀を失った悲しみを分かち合い、仕事のパートナーとしても対等な関係を築いていた2人の間にも友情が成立していたと言えるだろう。

「男女の友情は成立するのか」という問いに、明確な答えはない。しかし、朝ドラは性別が違っても分かり合えるということを、登場人物たちの様々な関係から描いてきた。直美と島田の場合は友人でもあるが、それぞれりんの娘・環(英茉)の「2人目のお母さん」と「おじさん」になることを宣言した今、家族になったとも言える。そんな今までの朝ドラでは描かれてこなかった唯一無二の関係にも注目していきたい。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















