SNSで大流行中の“タゴサク構文”とは? 『爆弾』佐藤二朗の怪演がネットミームになった理由

山田裕貴が主演を務める映画『爆弾』から生まれた“タゴサク構文”が、X(旧Twitter)やYouTubeなどで広がりを見せている。佐藤二朗も自身のX(旧Twitter)で「僕の知らない間に、『タゴサク構文』というものがわりと流行っているらしい。なんにせよ、皆さまが話題にしてくださるのはありがたいことです。みんな、ホント、ありがとね」と反応(※1)。公開直後の熱量が少し落ち着いた現在も、劇中のセリフ回しだけが切り出され、地域ネタ、オタクネタ、あるあるネタ、コント動画へと姿を変えながら拡散されている。
呉勝浩による同名小説を原作とした『爆弾』は、酔った勢いで暴行を働き、警察に連行された謎の中年男・スズキタゴサクの一言から物語が動き出す。タゴクは、取調室で「霊感で事件を予知できる」と語り、都内に仕掛けられた爆弾の存在を告げる。山田裕貴演じる交渉人・類家とタゴサクの心理戦が進む一方で、東京中を駆け巡る爆弾捜索も同時に展開していく。取調室という限られた空間で交わされる会話が、都市全体を巻き込む事件へとつながっていくのが、本作の大きなセオリーだ。

このタゴサクの口調をもとに広がったのが、“タゴサク構文”である。基本形は、「○○します。○○だからです」というもの。何かを言い切り、その後に理由を添える。ただし、その理由は一見もっともらしく聞こえながら、冷静に考えるとかなり強引だ。理屈の顔をした暴論。説明の形をした偏見。正しそうな口ぶりで、まったく正しくないことを言う。そのズレが、SNS上の大喜利的な遊びと相性抜群だった。
実際、“タゴサク構文”は文章ネタにとどまらず、動画のフォーマットとしても広がっている。YouTubeではハナコが「映画『爆弾』みたいにラーメン屋紹介する男」というコントを公開し、この構文を笑いの型として取り込んだ(※2)。ほかにも、映画館マナーを注意する動画、採用担当に置き換えた動画、プリキュアや百合など特定ジャンルを語る動画など、派生形はさまざまだ。短く、真似しやすく、題材を差し替えやすい。だからこそ、X(旧Twitter)の文章ネタだけでなく、YouTubeやTikTokなどのショート動画の文脈にもなじんでいった。

地域ネタとの相性の良さも、この構文の広がりを後押しした。鹿児島のご当地VTuber・愛耶夢耶からめは、この構文を「○○は鹿児島です」という形に置き換え、さまざまな土地や作品を強引に鹿児島へ結びつけていった(※3)。そこから「○○は埼玉です」といった別地域のパロディにも波及していった。アイデンティティ田島による「ドラゴンボールver.」のように、声真似やキャラクターなりきりの文脈でも展開されている(※4)。つまりタゴサク構文は、文字だけで完結する流行ではなく、声色、間、表情、画面の不穏さまで含めて真似できるところに、このミームの強さがある。





















