『風、薫る』上杉柊平の登場で新たな恋の予感? 直美は因縁の“クズ男”と思わぬ再会へ

『風、薫る』上杉柊平の登場で恋の予感?

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』第38話では、引き続き、「患者の気持ち」がひとつのテーマになっていく。

 和泉家侯爵夫人の千佳子(仲間由紀恵)の病室にはこの日も夫の元彦(谷田歩)と息子の行彦(荒井啓志)の姿が。ちょうど回診に訪れた医師の今井(古川雄大)らは「我々の仕事ぶりを見ていただくいい機会だ」と家族も含めて、病状説明を行おうとする。しかし千佳子はあまり気が進んでいないようで、表情を曇らせた。そんな状況を察したりん(見上愛)は咄嗟に資料を床に落として、場の空気感を一変させる機転を利かせたのだった。

 千佳子と2人きりになったりんは、「残念ながら、私に奥様の本当のお気持ちは分かりません」と正直に話した。すると千佳子は「手術を受けたくはありません」と心の内を打ちあけた。その理由は「華族と言っても元は武家。武家の女らしく潔く死にます」。農家となってからも武士の誇りを大切にしたりんの母・美津(水野美紀)のようでもあり、時代の変化についていけず物乞いをしてでも、武士の志を大切にした前作の朝ドラ『ばけばけ』のタエ(北川景子)も思い出させる高潔さを感じさせる表情をしていた。りんは元は武家の娘だったことを話し、その精神性だけではない「手術を受けたくない理由」を聞き出そうとするが、これは失敗に終わってしまう。

 一方の直美(上坂樹里)は丸山(若林時英)のいる大部屋を担当しているが、相変わらず丸山は患部を掻いているし、まだ固形物を食べられないのに差し入れの煎餅を食べようとする人はいるし、食べたら食べたでそのカスをこぼしっぱなしで不衛生にする人はいるし……とてんやわんや。極め付きは足が折れたため安静にしていなければならないのに、院内中をうろうろしている人まで。その一人ひとりにビシバシと注意をする直美はまさに辛口ナースだった。でも、患者一人ひとりにも言い分がある。特に足の折れている杉山(内野謙太)は怪我をする前、汽車の運転方をしており、石炭が燃える暑い中動くためには、足以外の筋力を鈍らせるわけにはいかないと言う。

 患者たちには、煎餅を食べて「美味い!」と言い合う“今の楽しみ”を謳歌したい気持ちもあるし、治ってからのことを考える必要もある。それぞれの“生活”があるのだ。もちろん病気や怪我を治している最中なのだから悪化させては意味がないが、トレインドナースは訓練されたが故に治すことばかりにフォーカスを当ててしまう傾向があるのかもしれない。この大部屋での出来事を話しながら、「そういうこともあるのかもしれないねぇ……」と言い合うりんと直美の声色は「患者の気持ち」を考え込んでいるようでもあり、それを理解することを半ば諦め、途方に暮れているようでもあった。

 本作は、トレインドナースの物語でありながら、そのナース個人とその周辺の人々の生活も描いていく。瑞穂屋を手伝っていた美津の元にはシマケン(佐野晶哉)とその親友・槇村太一(林裕太)、そして太一の兄・宗一(上杉柊平)が訪れる。そこへタイミングよく安(早坂美海)と環(英茉)の姿が。宗一を一目見た安は、恋に落ちてしまったようで、宗一もまんざらではないようなそぶりを見せた。りんと直美が一緒に働き始めてから2人の2パート構成はいつしか“りんと直美”、“シマケン”の構成となっていたが、“シマケン”パートでも大きな動きがありそうだ。

 街を歩いていた直美にも大きな転機が訪れる。髪を短髪にしている直美は周りから好奇の目に晒されることが日常茶飯事ではあったが、この日はある男性から「夕凪か?」と声をかけられる。だがどうやら人違いで、男性の言う“夕凪”と直美は年の頃が違うらしい。何かを怪しんだ直美がその人のあとをつけていくと、お金を払ってある場所へ入っていった。そこでお金を受け取っていたのは、なんと「小日向栄介」と名乗って鹿鳴館で直美に接触し、彼女を騙していた詐欺師の寛太(藤原季節)だった。思わぬところでの再会に驚くとともに、2人がどうなるのか、明日が待ち遠しい。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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