朝ドラの“最強女性バディ”は? 『あまちゃん』『芋たこなんきん』から『風、薫る』まで

朝ドラの最強女性バディは?

 日本初のトレインドナースの奮闘を描くNHK連続テレビ小説『風、薫る』は、現在「看護学校編」が展開中だ。第7週から病院での実習がはじまり、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が様々な患者と向き合う姿が描かれた。5月15日に放送された第35話では、わがままな侯爵夫人・千佳子(仲間由紀恵)が入院してきて、これまた一波乱ありそうだ。

 『風、薫る』では、元家老の家に生まれ一見おっとりしているが意外と自己主張の強いりんと、複雑な出自から容易に他者に心を許さない直美という凸凹コンビが、互いにかけがえのないパートナーになっていく過程が描かれようとしている。

 本稿では、これまでの朝ドラで描かれた女性同士の「最強バディ」たちの姿を振り返ってみたい。

「真のヒロイン」になったアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)

「ダサいけど楽しいから。ユイちゃんと一緒だと楽しいからやってたんだべ!」

 『あまちゃん』(2013年前期)のアキ(能年玲奈/現・のん)は、家族の問題から夢に敗れて闇堕ちしてしまった親友・ユイ(橋本愛)に向かってそう言った。

 アキの母・春子(小泉今日子)いわく、東京での彼女は「地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないぱっとしない子」だった。そんなアキが北三陸にやってきて自分を解放し、アイドルとなり、さまざまな人々を巻き込んでいく。アキがそれをできたのは、他でもないユイの存在があってこそだった。

 『あまちゃん』は「はじめから太陽のようなヒロインが、その笑顔で周りを明るく照らしていく」という朝ドラのいわゆる“定石”にアンチテーゼを唱えつつ、終始「人間の多面性」を描いていた。アキは北三陸に来て「人が変わった」のではない。元来持っていたが、奥底に潜んでいた素質が顔を出したのだ。そしてユイもまた、アキによって「自分自身も知らない一面」を引き出されて強くなっていった。アキとユイは互いのポテンシャルを引き出しあいながら成長し、やがて最強のコンビとして震災後の北三陸を明るくしていく。

町子(藤山直美)と純子(いしだあゆみ)が共にいたからこそ叶えられた自立

 作家・田辺聖子の半生をモデルに、主人公・花岡町子(藤山直美)が「人生とは」「夫婦とは」「家族とは」「人間とは」何かを見つめていく姿を描いた『芋たこなんきん』(2006年後期)。この作品にも「最強のバディ」が存在した。

 夫の健次郎(國村隼)が町子の人生のバディであることは間違いないのだが、ここでは町子の秘書・矢木沢純子(いしだあゆみ)との関係を特筆したい。

 作家でありながら大家族の母・妻となった町子は、純子という敏腕秘書の存在がなければ毎日の生活が立ち行かなかった。一方、バリキャリとして働いてきた純子は、会社員としての未来に行き詰まりを感じていた。男尊女卑がスタンダードであった昭和30〜40年代の企業社会において、独身女性がキャリアを築きながら働き続けることは並大抵のことではなかったのだ。そんなふたりが出会い、「互いの存在があってこそ生きられる」という唯一無二の絆を築いていく。

 『ばけばけ』(2025年後期)でヘブン(トミー・バストウ)と錦織(吉沢亮)の関係性を言い表した「作家とリテラリーアシスタント」という言葉が記憶に新しいが、『芋たこなんきん』の町子と純子も、まさにこの関係であった。「三本の矢」ならぬ「二本の矢」として、町子と純子は共に自立と自己実現を叶えながら、数々の書籍を世に残していったのである。

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