『銀河の一票』『17才の帝国』『笑うマトリョーシカ』 政治ドラマが映す“社会の変貌”

『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)は、政治の世界で生きてきた女性・星野茉莉(黒木華)と市井で生きてきた女性・月岡あかり(野呂佳代)がタッグを組んで東京都知事選に挑む選挙エンターテイメントだ。
現実の我々の生活には政治が深く関わっているのだから、政治に関わるフィクションがたくさんあっても不思議ではない。だが、日本の地上波ドラマにおいては、他ジャンルに比べてけっして多くはないのが現状である。

ここでは『銀河の一票』と同じく、政治をテーマに据えたドラマをいくつか紹介したい(※それぞれのストーリーや結末にふれている部分があります)。
『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』
『民衆の敵』が訴えた世間へのメッセージ 高橋一生「あなたは?」の問いで考えること
『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)が、12月25日に最終話を迎えた。先週の予告では、佐藤智子(篠原涼…2017年に「月9」枠で放送された篠原涼子主演の『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』(フジテレビ系)は、『銀河の一票』と同じく庶民の立場から政治の世界に挑んだ女性を描いている。
千葉県の架空の市を舞台に、学歴もなく、仕事も続かず、生活苦にあえぐ主婦・佐藤智子(篠原)が、「年収950万」欲しさに夫・公平(田中圭)、ママ友の新聞記者・平田(石田ゆり子)らの協力を得て、市議選に出馬して当選。政治家一家出身のエリート市議・藤堂(高橋一生)、リベラル系の市議・岡本(千葉雄大)、元アイドルの市議・小出(前田敦子)らとともに、市政に挑む。
出馬までの過程をじっくり描いた『銀河の一票』と異なり、第1話でいきなり出馬して当選してしまうスピード感が特徴。トランプ大統領の映像で始まり、「政治家の約束なんて、シャボン玉より軽いのよ」という市井の声や、野々村竜太郎兵庫県会議員(当時)の“号泣会見”のパロディー映像が流れるなど風刺色も強い。
智子は市議会のドン・犬崎(古田新太)に担がれて市長になるものの、不正の疑惑をかけられて窮地に陥るが、新聞記者・平田による告発もあって本当に不正を働いていた犬崎は失脚。計画が進んでいた産廃処理場をめぐって、市民が誰でも参加できる議会が開かれる。「私たち一人ひとりの無関心、それこそが“民衆の敵”なんです」という主人公のセリフは普遍性がある。
市議選や市長選に排外主義者が登場しないあたり、この10年の社会の変化を感じさせる。『銀河の一票』と見比べてみるのも一興だろう。
『17才の帝国』
『17才の帝国』は“めでたしめでたし”だったのか 取り戻すことのできない失われた時間
「失われたものは、取り戻せないんだよ」 『17才の帝国』(NHK総合)第2話で、商店街の再開発に反対する鈴原(塚本晋也)が、…『17才の帝国』(NHK総合)は、『銀河の一票』と同じく佐野亜裕美プロデューサーによる2022年の作品。
近未来、経済の没落によって世界から斜陽国と呼ばれるようになった日本の地方都市を舞台に、AIによって選ばれた17才のリーダー・真木亜蘭(神尾楓珠)が仲間たち(山田杏奈、河合優実、望月歩、染谷将太)とともに「透明な政治」「謙虚な政治」「救う政治」を実現しようと奮闘する姿を描く。
真木をはじめとする若者たちや彼らをサポートする内閣官房副長官の平(星野源)たちと対立するのが、鷲田総理(柄本明)、市長の保坂(田中泯)、市議の佐伯(岩松了)ら高齢の政治家たちだ。2000年代後半から広く使われるようになった“シルバー民主主義”がテーマの一つになっている。
最新のAIを利活用する真木だが、AIに頼りっぱなしではなく、市民との対話を重視する姿勢を貫く。ドラマからわずか数年後、現実にもAIの利活用をうたう政党が登場したが、真木たちとの共通点や相違点を考えてみるのもいい。























