『GIFT』は有村架純なしでは成立しない 視聴者と物語を繋ぐ“代弁者”がもたらす熱量

『GIFT』は有村架純なしでは成立しない

 私たちの胸をアツくさせるドラマ『GIFT』(TBS系)が、もうまもなく終わってしまう。変わり者の主人公をはじめ、一癖も二癖もあるユニークな面々と、もう会えなくなってしまうと思うと寂しい。この人々の姿に、ずいぶんと勇気づけられてきた。筆者だけではないだろう。そんな彼らと私たちとをつないできたのが、霧山人香という存在だ。演じているのは有村架純である。

 本作は、パラスポーツの“車いすラグビー”に打ち込む人々の姿を描き出す、熱きヒューマンドラマ。主人公である天才的な宇宙物理学者・伍鉄文人(堤真一)と、車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」が出会ったことから、物語ははじまった。彼らは特別な関係性を築き上げ、困難に直面するたびに強くなる。“日本一”という夢に向かって邁進する物語が、「日曜劇場」らしい骨太な展開で繰り広げられてきた。

 そんな本作で有村が演じる人香は、出版社勤めの雑誌記者。ライフスタイル誌の連載企画「パラアスリートとそれを支える人々」の取材でブルズの面々と出会い、伍鉄とも出会った。このドラマの主要人物たちの中で彼女がもっとも車いすラグビーから遠くにあった存在だといえるだろう。彼女とブルズの関係が強くなり、絆が深まる過程は、これまでのエピソードの中で積み重ねるように描かれてきた。

 ブルズにとって彼女の役割は何かーー。それは、メンバーをサポートすること。少し言葉足らずであったり、気持ちが先走ってしまいがちな伍鉄に代わって、状況を整理することである。ときに人香が口にする言葉たちは、私たち視聴者にとって“解説”と呼べるものでもある。彼女が言語化するのは、選手たちの外面的なところだけではない。内面的な心の動きにも、ときに触れる。彼女の存在を介して、『GIFT』が描く物語に、本作が提示するメッセージの深部に、私たちは触れることができている。

 チームのメンバーがひとりでも欠けては、ブルズは成立しない。それと同じように、“有村架純=霧山人香”の存在がなくては、この『GIFT』という作品は成立しない。非常に大きな役割を背負っているのだ。

 それに、ドラマを観ている私たちは、選手陣に声をかけることができない。先述したように、主人公の伍鉄は言葉足らずなところがある。そんなとき、適切で的確な言葉をかけるのが人香だ。“有村架純=霧山人香”は私たち視聴者にとって、“代弁者”であるともいえるだろう。

 人香はいつだって朗らかな人物だが、これは彼女という人間の一面に過ぎないことを、私たちは知っている。父親が10年前に交通事故を起こして以降、“加害者家族”であるという事実が彼女を苛め続けてきた。しかも事故の被害者がブルズの圭二郎(本田響矢)だと知ったときには、誰もがこの残酷な運命を嘆いたはず。それまで有村が立ち上げ続けてきた人香が明るい人物だっただけに、見ていて胸が張り裂けそうになるほど、彼女はうろたえていた。有村の演技からは冷静さが薄れ、不安定なものに。これを実現させるためには、長期的な演技プランがあったはずだ。群像劇の中で有村が紡ぐ力演は、人香の心音までをも聞かせるものだっただろう。

 本作のことを、“熱きヒューマンドラマ”だと先述した。『GIFT』は車いすラグビーに打ち込む人々の姿を描いているが、このドラマが真に捉えようとしているのは、困難に直面してもどうにか立ち上がり、そして進むこと。進み続けること。これを体現しているのはブルズの選手たちだけでなく、ブルズの一人ひとりと向き合い、ともに進もうとする人香もまたそうなのだ。有村は映画にドラマにと主要なポジションを担い続けてきた演技者だが、はじめての「日曜劇場」でも、作品の核となる役どころをまっとうしているのである。

 この作品で有村が担うポジションは、座長として作品に携わる人々を率いることや、脇に徹して物語を支えるのとは、大きく異なる。個性的なキャラクターたちの中に、人香という人物をどう位置付け、『GIFT』というある種のゲームを展開させていくか。私たちが得ている感動は、人香がいてこそ生まれるものだ。有村のポジションの正確さと的確な動きが、これを実現させている。もはやベテランの仕事のように感じられるものだ。

■放送情報
日曜劇場『GIFT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
公式X(旧Twitter):@gift_tbs
公式Instagram:gift_tbs
公式TikTok:@gift_tbs

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