『風、薫る』バーンズは『花子とアン』ブラックバーンのよう シーツ交換から始まる看護

『風、薫る』シーツ交換から始まる看護

 ついにスコットランドから看護指導の先生がやってきた。NHK連続テレビ小説『風、薫る』第26話では、エマ・ハワード演じるバーンズが本格登場し、ナイチンゲールから学んだ看護の基本を生徒たちに叩き込む。

 看護婦養成所に入学して、早くも意見の違いから喧嘩をしてしまったりん(見上愛)と直美(上坂樹里)。他の同級生も自己主張が激しく、個性と個性が反発し合いながらも、少しずつまとまっていく。彼女たちはナイチンゲールの著書を協力して翻訳し、看護婦にとって最も大切なのは、患者をobserve=観察することであるという答えを導き出した。

 そんな矢先、ようやく日本に到着したバーンズ。きっと優しい先生に違いないという生徒たちの甘い期待は、早々に打ち破られる。食堂に入ってくるなり、「Compose yourselves at once.(しゃんとしなさい)」と生徒たちを叱りつけるその様に、『花子とアン』(2013年度後期)のブラックバーン(トーディ・クラーク)を思い起こした人も多いのではないか。

 ブラックバーンは東京のミッションスクール「修和女学校」の校長で、ヒロインであるはな(吉高由里子)の恩師。規律に厳しく、当初ははなも「鬼みたいにおっかない」と恐れていたが、本当は誰よりも生徒思いの人情深い教師だ。のちに翻訳家となるはなが英語を好きになるきっかけを作り、卒業式には彼女の翻訳を通じて生徒たちにはなむけの言葉を送った。

 バーンズもまた、ブラックバーン校長と同様に厳しいだけの先生ではなさそうだ。自己紹介もまだなのに、生徒一人ひとりの顔を見て名前を言い当てていくバーンズ。時代が時代なので、事前に写真を見ていたわけではないだろう。おそらくだが、舎監の松井(玄理)から自分が不在中の様子を聞き、生徒たちの特徴を頭に入れていたのではないだろうか。ブラックバーン校長と花子たちのように、卒業する時には涙の別れになるのが今から想像できる。

 さて、バーンズはいきなり生徒たちを教員宿舎に連れていき、ベッドのシーツ交換を教える。他にも校内の掃除や換気など、看護の仕事として想像していたものとは全く異なる、女中のような作業に困惑を隠せない生徒たち。だが、実は著書『看護覚え書』の中でナイチンゲールはこんな言葉を残しているのだ。

「看護(nursing)とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること、こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること」

 バーンズの指導は、この言葉に基づいている。つまり、生徒たちが今やっていることはすべて看護の基本であり、ゆえにバーンズは一切の妥協を許さない。シーツのしわや窓枠のホコリなど、少しでも不備があれば、「This is not nursing.(これは看護ではありません)」と言ってやり直しさせる。

 あまりの細かさに、「小姑みたい」とぼやくのは喜代(菊池亜希子)だ。彼女には、りんと同じく結婚の経験がある様子。前回は多江(生田絵梨花)が手紙を握りつぶす意味深なシーンも登場するなど、こうして少しずつ生徒たちのバックグラウンドも明らかになっていくのだろう。

 生徒たちは腑に落ちない気持ちを抱きながらも、バーンズに命じられた通りにシーツ交換を続けていく。最初に合格をもらったのは、意外にも不器用な直美だった。

 他の生徒たちも続々と合格をもらい始めるが、女学校の学生の中には彼女たちを「女中」と揶揄する人も。そんな中、バーンズは油で固めてひと月ほど洗わない日本髪を“不潔”と評し、生徒たちに髪型を変えさせようとする。そろそろ直美や多江あたりから、不満が出そうだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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