『風、薫る』は“水・風・光”に注目するとより楽しめる? 見上愛×上坂樹里の涙の名演

『風、薫る』見上×上坂の涙の名演の第4週

 そして、最も男性優位社会で忍耐してきた世代として、りんの姑の貞(根岸季衣)の存在がクローズアップされる。

 「おらも女だ」「女でばばあだ クソばばあだ」は短いセリフながら根岸季衣の演技によって長く生きてきた女性の深みや苦みを感じさせた。

 第5週からは看護婦養成所での物語となり、いよいよ物語が本格化する。ここまでの駆け足展開が落ち着くことを願う。ここまで強風に押されるように話がどんどん転がっていった。タイトルに「風」があるだけあって、その都度、風が吹く演出がされている。

 制作統括の松園武大チーフプロデューサーは第1週の試写会見で風についてこのように語っていた。

「りんたちが学ぶ看護師養成所で教えられるナイチンゲール式の看護学には、『自然の力』という根本的な考え方があります。水、風、日の光——こうした自然の力を活かして人間が本来持っている自然治癒力を高めるというのがナイチンゲール看護学の基礎です。そういう意味でも、『風』というものがこのドラマのテーマに深く合致していると感じました」

 水、風、光――自然の力を注視していて、ドラマの随所にそれを感じさせるようになっている。

 例えば、第4週では光に注目してみよう。

 直美が小日向の正体を明かされる甘味処のシーン(第18話)で、小日向が去り際、振り返ったとき、背後から光が差す。その瞬間、彼は本名(寛太)を明かす。それまで少し薄暗く、光と影の明暗が強調されたような画面だったが、一瞬の白い丸い光が寛太のなかの良心、あるいは直美への親近感のようなものを感じさせた。

 また、第19話、環を取り返しに地元に戻ってきたりんに声をかける虎太郎。土手の上にいるときは逆光でちょっと顔が見えないが、駆け下りてくるにつれて顔がはっきりしてくる。思い詰めたりんが虎太郎に会って、少し気持ちが晴れたようにも見える。そしてホッとして体から力が抜ける。光と影の使い方で、セリフとはまた違う感情表現がなされている。このような上品な仕事を第5週以降も大切にしてほしい。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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