『風、薫る』藤原季節がわずか2分で残した“爪痕” りんと直美に吹いた新しい恋の風

『風、薫る』藤原季節が2分で残した爪痕

 直美(上坂樹里)に吹いた風は祝福か、警告か。NHK連続テレビ小説『風、薫る』第13話では、鹿鳴館で給仕として働き始めた直美と、アメリカ帰りの海軍中尉・小日向栄介(藤原季節)の出会いが描かれた。

 小日向が登場したのはラスト2分。上官の呼び出しで鹿鳴館に駆けつけた小日向だが、すでに客は全員引き払った後だった。入り口で対応してくれた直美に小日向は律儀に自己紹介したかと思えば、豪華絢爛な内装に圧倒され、「こういう所は苦手で入りづらいのが正直なところです」とこぼす。わずかな出演シーンにもかかわらず、小日向の実直で友好的な人柄を一瞬にして伝える藤原季節の表現力はさすがだ。その親しみやすい笑顔に、直美も好感を持った様子である。

 それにしても、直美の人並外れたバイタリティには驚かされるばかり。捨松(多部未華子)の前で小芝居を打ち、鹿鳴館の給仕にしてもらった直美はあっという間に仕事を覚え、先輩たちと遜色ない働きぶりを見せる。それどころか、この時代に英語が話せる彼女は、こと海外の要人が集う鹿鳴館においては貴重な人材だ。さらには物怖じしない姿勢で貴賓に対応しつつ、ひそかに夫候補として値踏みする直美。

 そんな彼女に一目置くのが、鹿鳴館の中でも秀でた存在感を放つ捨松だ。日本初の女子留学生としてアメリカに渡り、帰国後は陸軍卿の大山巌(髙嶋政宏)に見初められてセレブ妻の仲間入りを果たした捨松。多くの女性は彼女に憧れの眼差しを送っているが、中には妬みから「欧風芸者」と揶揄する人も。だが、捨松は歯牙にもかけず、常に堂々としている。

 その一方で彼女もまた、「鹿鳴館の華」という記号的な存在として扱われることにうんざりしているところもあるのではないだろうか。捨松は直美に、「アメリカで身につけた英語も学問も、何もかも、女の私に生かせる場所はこの国にはなくて。ひどい話でしょう?」と語りかける。それは、直美自身も味わったことのある悔しさだ。どれだけ知識を身につけても、秀でた才があっても、女というだけで、それに見合っただけの立場にありつけない。そんな世の中に辟易しながらも、利用できるものは何でも利用して、前に進もうとするところが直美と捨松は似ている。直美にとって、捨松は良き理解者となっていくのではないだろうか。

 また、りん(見上愛)も少しずつだが、舶来品を扱う店「瑞穂屋」での仕事に慣れつつあった。ある日、英語交じりで話す書生の槇村(林裕太)を接客していると、以前店で出会った島田(佐野晶哉)がやってくる。二人は友人のようで、りんが「お二人とも書生さんなんですか?」と聞くと、島田は「いや……俺は違う」と言葉を濁す。初めてりんと出会ったときと同じく、頑なに自分のことを語りたがらない島田。槇村の話によれば、瑞穂屋の常連客というわけでもないようだ。普段は商品を見るだけで買いはしない島田だが、この日は懸命に働くりんに免じて洋書を購入し、槇村を驚かせていた。今はまだお互いのことを何も知らないりんと島田の距離がグッと縮まる瞬間がいつか訪れるのだろうか。りんと直美、それぞれの恋の行方に期待したい。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる