“歌舞伎町映画”が近年急増している理由 若者たちの居場所として変貌した街の魅力

同じく2025年に公開された松居大悟監督の映画『ミーツ・ザ・ワールド』は、27歳のオタク女性・由嘉里(杉咲花)が歌舞伎町の路上で酔いつぶれていたところ、キャバ嬢のライ(南琴奈)に助けられたことをきっかけに、彼女のマンションでルームシェアをするようになる物語。

ホストやキャバ嬢といった水商売の人々も歌舞伎町映画の常連で、欲望にまみれた世界をたくましく生きるギラギラとしたタフな存在として描かれることが多いのだが、本作に登場するキャバ嬢のライやホストのアサヒ(板垣李光人)はギラギラ感が薄く、繊細な内面を抱えて悩んでいるため、どこにでもいる普通の若者に見える。
主人公がオタク女性ということもあってか、歌舞伎町映画のステレオタイプをズラした作りとなっており、別の町でも成立する話に見える。ただ、途中で語られる、歌舞伎町は人の出入りが激しい街で、昨日まで隣にいた人が突然いなくなることが当たり前だという、刹那的な人間関係が生まれては消えていく街というイメージは、現代においては歌舞伎町がもっともふさわしいのではないかと感じた。
この3作は、登場人物の背景も物語のジャンルもバラバラで、歌舞伎町を舞台にしているということぐらいしか、共通点はない。だが、3作とも歌舞伎町ならこういうことがあってもおかしくないという、妙な説得力がある。

あらゆる人々を受け入れる豊かな混沌が歌舞伎町には存在し、家族、学校、会社といった自分の所属している共同体に居場所がないと感じている人にとって、ここなら自分を受け入れてくれると思わせる希望が歌舞伎町にはあるのだろう。
もちろん、この混沌は表裏一体で、全てを受け入れる代わりに徹底的に搾取し、最終的に全てを呑み込んでしまう恐ろしさも存在する。だからここに行けば救われるとは口が裂けても言えないのだが、その恐ろしさを踏まえた上で人を引き付ける賑やかで明るい暗闇が存在し続ける限り、歌舞伎町映画は今後も作られ続けるのだろう。






















