見上愛×小林虎之介『風、薫る』第1週にして早くも悲恋 「俺の姫様だから」を手放すなんて

連続テレビ小説『風、薫る』(NHK総合)第1週「翼と刀」は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)がこれから激動の明治看護の世界に飛び込み、トレインドナースを目指していくまでの礎となる大切な週だ。
りんの父・信右衛門(北村一輝)が遺した言葉や、直美を父親のような優しさで見守る吉江先生(原田泰造)の存在が胸を打つ。そして、第5話でりんと直美のどちらにも影響を与えるのが、大山捨松(多部未華子)という存在だ。

第5話は、鹿鳴館で開かれる華やかな結婚披露の宴から幕を開ける。踊っているのは、捨松とその夫・大山巌(髙嶋政宏)。新政府側の薩摩出身の巌と、旧幕府側の会津出身の捨松との結婚は、和平のシンボルとなっていた。
直美は、吉江とアメリカ人宣教師のメアリー(アニャ・フロリス)と一緒に英字新聞を通じて結婚のニュースを知る。逆賊から貴婦人となった捨松のように、“貧乏女”と自虐する直美も玉の輿を狙い、生きていくにはアメリカへと渡るしかないと考えていた。
一方、那須ではりんが捨松と偶然出会っていた。馬車に乗っているのはドレス姿の捨松と巌。アメリカに約10年間留学していた捨松は、日本語より英語やフランス語が堪能になったというが、「子供たち……私、会津いました。時と同じ」と話す片言の日本語は、どこか前作『ばけばけ』のヘブン(トミー・バストウ)を思い起こさせる。

「私の夢は女学校を作ることです。それともう一つ……」と流暢な英語で話したところで、馬車がりんへと迫る。転んだりんを心配して、捨松が駆け寄ってくるのだ。
「Are you all right?」という英語に、鮮やかなドレス、18も年が離れた夫を「巌」と呼び捨てにする姿、「ねばならない」という丁寧な言葉遣い。りんにとっては全てがカルチャーショックの連続だった。何より、擦りむいた傷口から破傷風にならないようにと、綺麗な水で傷を洗い流し、レースのハンカチで縛る。その的確な「看護」の姿そのものが、りんにとっての吹き抜ける風だった。
東京では、直美が神出鬼没の占い師・真風(研ナオコ)と出会っていた。キリスト教徒である直美は「占いなんて信じない」と十字架を示す。

「もう少しの辛抱。お嬢さんの願いがかなうよ」という真風の言葉に、直美はアメリカに行けると心躍らせるが、「心から笑い合える人と出会える」という真風の占いにそっぽを向いてしまった。本作の語りを担当する研ナオコが、「風」という全てを知り、見守る存在なのだとすれば、直美にとっての「心から笑い合える人」はりんであり、それが直美の本当の願いということになる。
りんにとって捨松と巌との出会いは、一ノ瀬家に降ってきた縁談話を受け入れるきっかけにもなっていた。相手は18も年上で、りんと同い年の息子もおり、後妻に入ってほしいという話だ。「りんとは年も家の格も何一つ釣り合いません」と美津(水野美紀)は怒っているが、信右衛門が亡くなり生活が苦しくなる一ノ瀬家を助けるためには、運送業で儲けているという相手方に嫁ぐほか道はないと、りんは思い詰めていた。

第5話のラストで描かれるのは、りんと幼なじみの虎太郎(小林虎之介)との悲恋だ。捨松からもらったハンカチで虎太郎の傷の手当てをするりん。虎太郎が勇気を出して「りんは俺の姫様だから」と手を握るが、りんはその手をそっと離してしまう。
それはりんにとって正しい選択なのか、それとも間違いなのか。風はただ知っている。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















