香川照之が1人6役を怪演 『連続ドラマW 災』が追求した“これまでにない映像表現”

『連続ドラマW 災』香川照之の怪演ぶり

 香川と5月は、映画『宮松と山下』以来のタッグ。関、平瀬と5月所属の佐藤雅彦が監督した同作は、フィクションと現実の狭間で生きる記憶喪失の宮松(香川照之)が新鮮な筆致で描かれた。前作との違いについて、平瀬は「監督としての議論に香川さんも入ってくださって、そのおかげで生まれた良いシーンが多くある」と語る。

 劇場版では不穏な音響が強調され、アリ・アスター監督作のようなサイコスリラーの印象が前面に出ていたが、連続ドラマとして観返すと、各話の作り込まれた演出の意図が伝わってくる。

 鼎談には、関と平瀬、香川が役作りについて相談する撮影現場の光景も収録。事前のイメージに香川が現場で提案したアイデアを取り入れることで、これまでにない映像表現を追求した。そのひとつが会話の“間”だ。男が取る不自然なくらいの“間”が増幅する効果は、改めて本編をご確認いただければ、その意味がおわかりいただけるだろう。

 沈黙に耐えられない現代人に寡黙な男が突き付けるのは内心の不安であり、それは取り繕った外面の裏にある罪の意識かもしれない。今作は一歩進んだヴィランドラマであり、『笑ゥせぇるすまん』に通じる転落劇の一面もある。各話の主人公の破綻が人災か、それとも意図せざる天災のようなものかの判断は観る側にゆだねられている。

 ドラマは人間の感情を描くものである。ひとつの感情が起点となって次の波を起こす情動のうねりがドラマツルギーの根底にある。感覚レベルの恐怖を呼び起こす『連続ドラマW 災』は、香川が完成報告会で言及したように、従来のドラマ的なカタルシスの範疇を逸脱している。それでもなお今作に引きつけられるのは、私たちが抱く根源的な恐怖を探り当てているからではないだろうか。

■リリース情報
『連続ドラマW 災』
4月8日(水)DVD-BOX発売
価格:12,540円(税込)
品番:TCED-8437
仕様:2025年/日本/カラー/本編313分+特典映像55分/16:9LB /Disc1~2:片面1層、Disc3:片面2層/音声:オリジナル日本語 ドルビーデジタル2.0chステレオ/字幕:なし/全6話/3枚組

【特典映像】
■香川照之×監督集団「5月」関友太郎・平瀬謙太朗 特別鼎談
■完成報告会
■スポット集

出演:香川照之、中村アン、松田龍平、じろう(シソンヌ)、中島セナ、内田慈、藤原季節、坂井真紀、宮近海斗、竹原ピストル
監督・脚本・編集:関友太郎・平瀬謙太朗(5月)
音楽:加藤賢二 豊田真之
音楽プロデューサー:菊地智敦
制作プロダクション:AOI.pro
制作協力:電通
製作著作:WOWOW
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:TCエンタテインメント
©︎2025 WOWOW

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