『月夜行路』と『名探偵コナン』に意外な共通点? “事件起きすぎ”バディものの面白さ

『月夜行路』『名探偵コナン』に意外な共通点

 日本テレビ系水曜ドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』(以下、『月夜行路』)を観ていると、SNS上でちらほら見かける感想がある。それは『名探偵コナン』との共通点を指摘する声だ。もちろん、本作は『名探偵コナン』のように、探偵役の主人公が次々と事件を解決していくタイプの作品とは少し違う。物語の中心にいるのは、波瑠演じる文学オタクのバーのママ・野宮ルナと、麻生久美子演じる主婦・沢辻涼子。2人が名作文学を手がかりに、ルナの父が残した謎や、旅先で出会う事件を追っていく“文学ロードミステリー”である。

 それでも、そう言いたくなる気持ちはよくわかる。というのも、『月夜行路』には『名探偵コナン』のファンが思わず反応してしまうような要素がいくつもあるからだ。なかでも大きいのが、主人公たちが行く先々で事件に遭遇する点だろう。

『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 『名探偵コナン』といえば、コナンたちが旅行に行けば事件が起き、ホテルに泊まれば事件が起き、山荘に行けば事件が起き、列車に乗れば事件が起きる。冷静に考えればかなり大変な状況なのだが、長くシリーズを追ってきた視聴者にとっては、もはやその偶然性も作品の大きな魅力のひとつになっている。「また事件に巻き込まれている!」とツッコミながら観るのも、『名探偵コナン』の楽しみ方のひとつだ。

 『月夜行路』にも、同じような楽しさがある。第1話では、45歳の誕生日に夫の浮気を疑って銀座をさまよっていた涼子が、文学オタクのバーのママ・ルナと出会う。そこから学生時代の恋人・カズト(作間龍斗)を捜すために大阪へ向かうのだが、旅の始まりに待っていたのは、近松門左衛門『曽根崎心中』の舞台として知られる露天神社で発見された寄り添う男女の遺体だった。初回から、文学探訪のはずがいきなり事件現場にたどり着いてしまう。この導入の勢いは、まさに「出かけた先で事件が起きる」ミステリーの王道である。

『月夜行路 ―答えは名作の中に―』 ©︎日本テレビ

 その後も、ルナと涼子はルナの父・英介(石橋凌)が残したパソコンのパスワードを解くために、名作文学にまつわる場所や人物を訪ねていく。だが、その先々でまた別の謎にぶつかる。第7話では、解読の手がかりとして浮かび上がった夏目漱石『吾輩は猫である』の表紙を頼りに、2人は漱石研究の第一人者・吉澤(野間口徹)のもとを訪ねる。ところが、そこでは公園の爆破予告や、吉澤の息子・龍之介の不可解な行動が浮かび上がっていく。文学のヒントを追っていただけなのに、気づけば爆破予告にまで巻き込まれている。この「どうしてそうなるの?」と言いたくなる展開の広がりこそ、『月夜行路』のエンタメ感だ。

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