上坂樹里は立ち向かう役で輝く 『風、薫る』“猛々しさ”と透明感を併せ持つ新ヒロイン像

NHKドラマでは、2025年に放送された『いつか、無重力の宙で』での好演も記憶に新しい。同作は高校時代に「一緒に宇宙に行こう」と夢を語り合った天文部の女子4人が大人になって再会し、小型人工衛星を開発する青春物語だ。天文部の中心的な存在だったひかりの高校時代を演じた上坂は、口調や声色を本役である森田望智に限りなく寄せて、ひかりの過去と現在を違和感なく繋いだ。しかし、ただのオマージュ演技ではない。好きなことにまっすぐで、周りに「この人についていけば大丈夫」と思わせるひかりの求心力を、あれほどまでに説明なしで語れる役者が他にいるだろうか。
『風、薫る』の制作統括・松園武大氏は上坂の起用理由について「凛とした佇まいと、奥底にあるたくましさ」(※)を挙げていた。『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 風、薫る Part1』(NHK出版)では、見上が「後ろが透けて見えるほど(笑)の透明感!と同時に、樹里ちゃんが演じる直美に通じる強さを感じました」と上坂の第一印象を語っている。底知れぬパワーを感じさせ、一度見たら目が離せなくなる。イメージで言えば、砂漠に咲く一輪の花。

そんな上坂は何かに立ち向かっていく役が似合う。『ビリオン×スクール』で演じた梅野ひめ香も、自分をいじめていたクラスメイトに対し、許せない気持ちを持ちながらも寄り添おうとする役柄だった。『御上先生』では、上野演じる東雲温がホームルームで、家庭崩壊の原因となった文科省作成の学習指導要領について問題提起するシーンが第3話の大きな見せ場となった。いずれの作品でも芝居に優しさと強さを兼ね備えてきた上坂は、直美を演じるのに適任だ。直美は過酷な環境で育ったがゆえに、捻くれたところや強かな面を持った女性。しかし、家族から愛情をいっぱい注がれ、マイペースでありながら心根のあたたかい女性に育ったりんとの出会いによって本来持っている素直さや優しさが引き出されていくという。そんな直美の多面的な人柄や成長過程を、上坂なら豊かに演じてみせてくれるのではないか。また直美は貧しいながらも流暢な英語を話す役柄で、上坂は撮影と同時に英語の稽古に励んでいる。現時点ではまだ短い単語で悪態をつくに留まっているが、そのうち稽古の成果を披露する場面も出てくるはずだ。これから半年間かけて、直美という役とともにさらに役者として成長を遂げていくであろう上坂を見守っていきたい。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/06/post-2044002_2.html
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK






















