『風、薫る』見上愛×上坂樹里は“間違える”主人公? コロナ禍後だからこその朝ドラに

『風、薫る』は“間違える”主人公?

 連続テレビ小説『風、薫る』(NHK総合)が、いよいよ3月30日よりスタートする。主人公を務めるのは見上愛と上坂樹里。激動の明治看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走する2人の女性の物語だ。

 『風、薫る』の最大の特徴は、女性2人がバディを組んで生き抜く物語ということだ。ダブル主演としては、三倉茉奈・三倉佳奈の2人が主人公を演じた『だんだん』(2008年度後期)以来となる。だが、『だんだん』は双子の物語という印象が強く、「赤の他人との出会いからバディとなって進んでいく」という物語は、近年の朝ドラにはなかった斬新なコンセプトと言えるだろう。

 筆者はすでに第1週「翼と刀」を試写で観ているが、一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が交互に描かれていく物語展開は、朝ドラとしてどこか新鮮だ(第1週時点では、どちらかと言えばりんが主軸ではある)。栃木と東京、訛りと英語、武家と教会、真っ直ぐな性格と捻くれ者といったように、2人は育った環境も性格も対照的。そんな2人がやがて出会い、ともにトレインドナースを目指していくこととなる。

 見上がほぼ全ての会見やインタビューで語っているのは、2人は「太陽にも月にもなりうる関係性」だということ。直美が沈んでいればりんが照らし、りんが沈んでいれば直美が照らす。そんな互いを補いあい、2人でいるからこそできることが広がっていくようなバディだと話している。

見上愛×上坂樹里、『風、薫る』は“運命”のめぐり合わせ 「私たちはすごく相性がいい」

3月30日より放送がスタートする、2026年度前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』。明治18年(1885年)、日本で初めて看護婦…

 また、『風、薫る』では主人公の幼少期は描かれず、第1話から見上と上坂が演じている。これは、りんと直美が出会うことによって大きく歯車が動いていく、その「出会い」そのものに重きを置いているからだと、制作統括の松園武大は会見で説明していた。

 りんと直美の物語が本格的に重なっていくのは、2人が看護婦養成所に入学する第5週から。そこに至るまでの、特に第1週には、りん、そして直美にとって大きな指針となる言葉や出来事が詰まっている。「第1週では、りんの運命を大きく左右する家族のエピソードが描かれ、そこから第3週にかけてりんの人生にはさまざまな出来事が展開していきます。この3週間で描かれたことが土台となり、りんが“トレインドナース”を志す物語につながっていく」と、見上は序盤の怒涛の展開を明かしている(『ドラマ・ガイド』より)。

 栃木・那須にある山裾の町と、文明開化に華やぐ東京とで、雰囲気や登場人物のコントラストが描かれているのも面白い。第1週を観ていて目を惹きつけられたのは、大山捨松(多部未華子)だ。“鹿鳴館の華”と呼ばれた時代を象徴する貴婦人で、りんと直美の人生に多大な影響を及ぼす人物となる。

 脚本の吉澤智子は、会見の中で捨松が物語のキーになっていくと話す。捨松は日本初の女子留学生であり、アメリカで看護を学び、日本に医療やチャリティーを根付かせた。第1週では思わぬ形で捨松がりんの前に現れるが、多部未華子の演じる捨松がとにかく上品で麗しい。吉澤も「捨松はアメリカ帰りで言葉がとてもストレートな人ですが、多部さんの品の良さで、きついことを言っても可愛く素敵な捨松になっています」と称賛していた。

 りんと直美が通うことになる梅岡看護婦養成所で出会う玉田多江(生田絵梨花)、泉喜代(菊池亜希子)たち1期生は物語を彩り、2人にとっても大切な仲間になっていくことを想像させる。一方で、事前番組『もうすぐ「風、薫る」』(NHK総合)を観ていて気になったのは、“シマケン”こと島田健次郎(佐野晶哉)の存在だった。シマケンは東京で出会う小説家志望の青年。りんは娘とともに上京することになるが、りんとの恋模様をシマケンは予感させる。

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