見上愛×上坂樹里、『風、薫る』は“運命”のめぐり合わせ 「私たちはすごく相性がいい」

見上愛×上坂樹里、『風、薫る』は“運命”

 3月30日より放送がスタートする、2026年度前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』。明治18年(1885年)、日本で初めて看護婦の養成所が誕生したのを皮切りに、次々と養成所が生まれた。そのうちの1つに、物語の主人公・一ノ瀬りんと大家直美は運命に誘われるように入所する。医療の世界に新たな風を起こした2人の「トレインドナース(正規の教育を受けた看護師)」の波乱万丈な人生を描く物語だ。主人公であり、不運が重なり若くしてシングルマザーとなった一ノ瀬りんを見上愛が演じる。

 そして、2410人ものオーディションから選ばれ、もう一人の主人公・大家直美を演じるのが上坂樹里だ。直美は生まれてすぐ親に捨てられ、教会で保護されて育った孤独な生い立ちを持つ。育った環境も価値観も全く異なる2人が、時にぶつかり合いながらも、“最強のバディ”へと成長していく。長丁場となる“朝ドラ”の撮影現場で、2人はどのように役と向き合い、絆を深めているのか。役作りから撮影の裏側、そしてお互いの意外な共通点まで、たっぷりと語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

身をもって知る“医療従事者への深い敬意”

――『風、薫る』で、役を演じる上で一番心がけていることを教えてください。

見上愛(以下、見上):私が演じる一ノ瀬りんは、すごくまっすぐで優しく、それでいて少しうかつなところもある、とても愛らしい女性です。シングルマザーになる背景もあり、自分の中に確固たる信念を持っていますが、決して完璧な人間ではありません。彼女の持つ強さと弱さのバランスを、日々のお芝居の中で丁寧に演じていきたいと思っています。

上坂樹里(以下、上坂):私が演じる大家直美は、人間味にあふれ、とにかく生きることに貪欲なキャラクターです。家族がおらず、一人で生き抜いてきた背景があるので、「自分が生きるためならプライドを捨てて何でもやってやる」というような、目的のためには多少のズルもいとわない強さを持ったカッコいい女性だと解釈しています。演じるにあたっては、直美が育ってきた過酷な環境が、普段の姿勢やちょっとした所作にも表れるよう意識しています。最近も所作指導の先生から「ただ綺麗に座るのではなく、直美だったら足を組んでもいいんじゃないか」「もっと雑な振る舞いでいいんじゃないか」といったアドバイスをいただきました。そうした試行錯誤の過程を経ることで、大家直美という役の深みがどんどん増していると実感しています。

――劇中で着用されている看護服の印象や、看護師という職業を演じてみての心境の変化はいかがですか?

見上:明治時代はまだ着物が主流の社会でしたが、看護において「清潔さ」が大事だということで、日本髪から西洋の髪型へと変わっていきます。劇中でも、みんなで一斉に髪型を変えるシーンがあるのですが、厳しい家で育ってきた子たちが、これまでの価値観から西洋の新しい価値観を取り入れて、「これから私たちは看護をやっていくぞ」と気合が入る、とても印象的な場面になりました。ずっと着物での撮影が続いていた中で、衣装さんが一人ひとりの身体に合わせて採寸してくださった看護服に初めて袖を通した時は、「今までとは違う、看護師としてこれから人のために生きていくりんの姿になったな」とスイッチが入るような高揚感がありました。

上坂:私も初めて看護服を見たときは、素直に「かわいい!」と胸が高鳴りました。見習い生のときは頭にナイチンゲールの象徴としての飾りをつけていて、それが現代にも通ずる魅力があるなと。りんと直美が看護学校で出会う同級生たちもみんな同じ服を着るので、全員で輪になったときの映像がすごく素敵だったんです。時代が変わっていく中で、2人が看護の道を切り拓いていく象徴的な出来事だと感じました。

見上:看護師という職業については、演じる前からリスペクトしていましたが、実際にシーツの敷き方や包帯の巻き方などを練習してみて、当時の看護師さんたちの苦労を身をもって実感しました。例えば、シーツのシワひとつで患者さんがかゆくなってしまったり、衣服のズレが伝わってしまうと、それは看護において正しくないんです。「何が患者さんにとって最善なのか」と悩みながら、人の命や身体を扱う仕事の難しさに、改めて深い尊敬の念を抱いています。

上坂:撮影に入る前には、みんなで包帯のお稽古などもしたんです。現場の前室でも見上さんと何度も一緒に練習したのですが、これが本当に難しくて……。今まで自分がどれだけ恵まれた環境にいたのかを実感するとともに、現在最前線で戦っていらっしゃる医療従事者の皆様への敬意もさらに深まりました。

――“朝ドラ”ならではの、長期間にわたって一人の人物の人生を演じる感覚について教えてください。

見上:私は以前、NHK大河ドラマ『光る君へ』で11歳から母親になるまでの長い年月を演じた経験があったので、長期間同じ役を演じる難しさは体感していました。ただ、ドラマの撮影は必ずしも物語の順番通りに進むわけではありません。その中で感情や成長の過程を組み立てていく複雑さが常にあります。今回はまだ年齢の大きな変化は演じていませんが、直美との出会いや、鹿鳴館の華といわれた大山捨松(多部未華子)さんなど様々な人々との出会いの積み重ねで、りんの中に少しずつ新しい価値観が芽生えていく様子を、やりすぎない程度に自然に表現できたらと意識しています。

上坂:私はこんなに長い間、同じ役を演じるのは初めてなので、今も日々悩み続けています。少し時間が経った設定のシーンで「直美はこのぐらい(成長している)かな」と思って演じてみたら、監督や所作の先生に「あまりにも肝が据わりすぎているから、もう少し初期の緊張感を戻して」と言われてしまって(笑)。そのバランスが本当に難しいと痛感しました。初心に戻って第1週の台本を読み直したりしながら、成長して変わっていく部分と、根底にある変わらない部分のバランスを大事にして、丁寧に向き合っていきたいです。

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