実写版『ONE PIECE』原作の先取り展開はなぜ起きた? 未来を描く制作陣の“覚悟”

Netflixオリジナルドラマ『ONE PIECE』が速い。尾田栄一郎による原作漫画に追いついてみせるようなスピード感で、物語に描かれる世界や出てくるキャラクターたちを見せ、近づきつつある原作の完結へと意識を向けさせる。30年に及ぶ連載の中で尾田が見せたかった世界、伝えたかったメッセージがドラマ版には凝縮されている。3月10日からNetflixで配信が始まったドラマ版『ONE PIECE』のシーズン2で登場したキャラたちや繰り出されたエピソードが、漫画やアニメで『ONE PIECE』に触れてきたファンたちを驚かせた。
いきなり登場して強さだけでなく妖艶さと冷酷さを見せるミス・オールサンデー。牢獄で子供がいることをガープに打ち明けるゴールド・ロジャー。ローグタウンでルフィたちに絡むまだチンピラだった時代のバルトロメオ。数十話どころか数百話を経てようやく出てくるキャラや明かされるエピソードが、ルフィたち麦わらの一味が「偉大なる航路(グランドライン)」に出るか出ないかといったところで繰り出される。

この中で意外性ならバルトロメオの早すぎる登場が一番だろう。ルフィたちがグランドラインを超え、新世界に入り、王下七武海のひとりだったドンキホーテ・ドフラミンゴが仕切る国「ドレスローザ」でようやく登場する。悪魔の実の「メラメラの実」を狙ってコロシアムで戦う闘士たちのひとりとして凶悪な顔立ちを見せつつ、アニメ版では森久保祥太郎が演じる方言交じりのセリフもあって、主要キャラなのかただのやられ役なのか分からない雰囲気を漂わせていた。
「ドレスローザ編」ではそのバルトロメオが、実はルフィがローグタウンにあるロジャーが処刑された場所で見せた一種の奇跡に感動し、追いつきたいと海賊になったことが明かされる。そうした過去が、ドラマではシーズン2の第1話で早々に描かれてしまったから、先の展開を知っているファンは驚いただろう。
もしもドラマが途中で打ち切られたら、バルトロメオが出ていたことは伏線にも何にもならない。順調にシリーズが続き、その時点でいきなり登場させても、漫画やアニメと同じ展開だからと誰も気にしない。それをあえて先に出してきたところに、はるか先までドラマ化したい作り手の意識がうかがええる。同時に、ルフィの生きざまによって影響を受けた人物を出しておくことで、ただの駆け出しではない主人公感をルフィに与えることができる。

ただのファンサービスではない。早い段階でのキャラクターの登場にはいろいろと狙った効果があるのかもしれない。バルトロメオの登場にはそう思わせるところが確実にある。
願うなら、ドラマが本来バルトロメオが登場する「ドレスローザ編」までしっかりと描かれていってほしいものだが、そこに至る過程が実に壮大で膨大だ。シーズン2の終わりでようやくたどりついた「アラバスタ王国編」の先に待つ数々の冒険の先で、「マリンフォード頂上戦争編」というシリーズでも屈指の大激闘が描かれる。それも超えていかなくてはならない。
この「マリンフォード頂上戦争編」の存在もまた、シーズン2で間接的に仄めかされていて、そこまで描いてくれるのかもしれないという期待を誘う。シーズン2に登場した、ロジャーがガープに自分の子供を面倒みてくれと頼むシーンこそが、漫画やアニメの「マリンフォード頂上戦争編」で描かれるものなのだ。
このシーンも、ドラマのシーズン2に挟み込まれる必然性はない。ドラマしか見ていない人には、ルフィがロジャーの子なのかと思わせかねないところもある。ただし、直後にルフィをスモーカーから救うドラゴンが登場し、ワケあり感を醸し出すからそこは安心だが、それなら、ガープが託した子とはいった誰なのかといった点が浮かんでくる。



















