戸田恵梨香が『リブート』で放った“ミステリアスな魅力” 仮面の裏に隠した“孤独と覚悟”

『リブート』戸田恵梨香の“孤独と覚悟”

 30代に入ってからは、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(2018年/TBS系)で若年性アルツハイマーに侵される役を熱演。衰えていく心細さや、その姿を夫(ムロツヨシ)に見せたくなくて姿を消す切ない演技が胸を打った。『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(2021年/日本テレビ系)では、切れ者でありながら寂しがり屋の警察官を頼れる先輩として演じた。2作品どちらも彼女の好きな作品に挙げる人が多い。

 そうして大人の女優に変貌していく中で、2020年に俳優・松坂桃李と結婚。出産を経て、約4年半ぶりに連ドラに復帰したのが今回の『リブート』である。人生の転換点を経たことが、本作の彼女の演技にも表れているように思える。

 ダークな側面が強い『リブート』の一香を演じる中でも、ハヤセのシュークリームを食べる時の笑顔や、早瀬の母(原田美枝子)を気遣う表情には優しさを垣間見せていた。そして儀堂の妻(黒木メイサ)に会った早瀬に対して「好みなんだ、ああいう人? 夏海さんが可哀そう」と混ぜ返し、「僕は夏海一筋です」と返した早瀬に対して「もう、いないけどね……」と呟いた表情にも深みが感じられる。

 夏海の遺体が白骨だったことから、筆者も早い段階で夏海が一香にリブートしているのではないかと睨んでいた一人だが、第7話のラストで「ごめんね、マチちゃん」と呟いたことから、よりその可能性が高まった。マチ(上野鈴華)は夏海が親しくしていたNPO法人の代表だからだ(ただし遺体と夏海の歯の治療痕が一致したことは、どう説明がつくのかまだわからないので、一香=夏海が確定したわけではないが、その仮定で話を進めたい)。この時の放心した表情に、後悔や懺悔だけでなく、マチに対する母性のようなものまで感じさせたのは、私生活の変化があったからではないだろうか。

 第6話で早瀬の味方である仮面を脱いで、「もう、ごまかしてても意味ないか。組織の金庫番、夏海さんの地位が欲しかった。お陰で100億手に入った。ありがと」と早瀬に言ってのけたシーンは、ゾッとするような凄みがあった。だがそれも、夏海が悪ぶって一香を演じているのだと考えると、見え方が変わってくる。

 戸田は本作について、こう語っている。「今作のテーマである『再起動』を彩る『嘘』を表現するため、絶妙なバランスで演じることに努めました。視聴者の皆様には、登場人物の表情の些細な変化にも注目していただき、物語の真実を読み解いていただければ嬉しいです」(※)

 前半戦は鈴木の1人2役に注目が集まっていたが、その間もずっと戸田が、“一香の仮面を被った夏海”を内包しながら演じていたのかと思うと、第1話から全て見返したくなってくる。

 家族を守るために他人に姿を変え、愛する夫にも嘘をついて姿を変えさせたのだとしたら、その葛藤と覚悟はどんなものだったか。あるいは一香はやはり一香自身で、さらに複雑な事情を抱えているのか。想像しようとしても難しいその境地を、戸田がどんな演技で見せてくれるのか、終盤にますます期待がかかるのだ。

参照
https://realsound.jp/movie/2025/10/post-2201363.html

『リブート』の画像

日曜劇場『リブート』

妻殺しの濡れ衣で逮捕されたパティシエの早瀬陸は、悪徳刑事・儀堂歩に追い詰められ、真犯人を見つけ出すため、家族と過去を捨てて儀堂の顔に変わり“リブート”を決意する。

■放送情報
日曜劇場『リブート』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉(King & Prince)、蒔田彩珠、中川大輔、藤澤涼架、与田祐希、上野鈴華、藤田ハル、矢崎滉、野呂佳代、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、伊藤英明、山口紗弥加、池田鉄洋、酒向芳、黒木メイサ、原田美枝子、北村有起哉ほか
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」(TOY'S FACTORY)
プロデュース:東仲恵吾
協力プロデュース:國府美和
演出:坪井敏雄、田中健太、元井桃
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/REBOOT_tbs/
公式X(旧Twitter):@reboot_tbs
公式Instagram:reboot_tbs
公式TikTok:@reboot_tbs

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