『閃光のハサウェイ』『花緑青』 アニメ映画エンドクレジット公開の文化・産業的意義とは?

個人では、アニメの『ゲゲゲの鬼太郎』に関する情報をまとめた『ゲゲゲのアニメ 『鬼太郎』60年史と70人の言霊』(徳間書店)の編著を手がけた原口正宏氏のように、アニメのクレジット採録を1981年から現在まで続けてきた人がいる。同書によれば、「第3期から最新の第6期までは、40年にわたり手許でビデオ録画してきた本編映像をもとに、調査と記録を行った」とのこと。そうした労力の成果として、『ゲゲゲの鬼太郎』に関するファン的にも学術的にも貴重な本が出来上がった。
原口氏は、放送されるすべてのTVアニメを録画した上で、再生しながらスタッフリストを書き取り、パソコンに入力し続けてきた。そうして採録されたデータが、『月刊アニメージュ』(徳間書店)に載っていた「年間パーフェクトデータ」や、日本動画協会の『アニメ産業レポート』に付いていた「アニメ全作品年間パーフェクト・データ」として刊行され、ファンが楽しみ企業が利用し学術研究機関が研究する役に立ってきた。
原口氏のデータは、「メディア芸術データベース」にも入力されて、監督名やキャスト名を確認できるようになっている。ただ、増え続ける作品数の中で近年の作品にはリストの入力が間に合っていないものもある。「アニメ大全」のほうも状況は同じようで、事務局が頑張って大まかな情報は拾っているものの、クレジットのすべてが掲載されてはいない。
手間やコストを軽減するため、録画したアニメの映像からクレジットが出る場面だけを切り取り、OCRにかけてテキスト化する試みも数年前から始まっているが、そのテキストが人名なのか役職名なのか企業名なのかを判断するには、知識を持った人間が必要となる。知識自体をAIに移して自動的に判断し、データベースに入れられるようにする試みも検討されているが、デジタル化で新しい役職が次々に生まれていることもあり、実用化は道半ばといったところのようだ。
アニメ制作会社から映像に焼き込んでいるクレジットをデータとしてもらえば簡単に集まりそうだが、ただでさえスケジュールが逼迫する制作工程の終盤にまとまるクレジットを、忘れずに提出するのは現場にとってなかなかの負担だろう。こうした手間を厭わずリストの作成と提出を行わなくてはいけないと思ってもらうには、クレジットの採録と公開がアニメ業界にとってメリットがあると理解される必要がありそうだ。
その意味で、アニメ映画のエンドクレジット公開が大いに話題になったことは光明だろう。パッケージ化に際してリテイクされ、リストに追加があったり差し替わったりすることも起こる。リストに掲載された名前がデータベースに記録されることを嫌がる人もいるかもしれない。そうした課題はあるものの、アニメのエンドクレジットが持つ価値が広く知られ、それらを採録して記録する手間も理解されることで、リストの提供にしても自動採録のシステム構築にしても、次の段階へと向かう動きが生まれる。
相次いだアニメ映画のリスト掲載は、時代を動かし文化を動かすほどの意味があるものなのだ。
参照
※1. https://mediaarts-db.artmuseums.go.jp/
※2. https://animedb.jp/






















