上白石萌歌のコメディセンスがどハマり 『ロマンティック・キラー』実写化で増したネタ要素

『ロマンティック・キラー』上白石萌歌の魅力

 例えば『スピード』(1994年)や『竜とそばかすの姫』(2021年)、『君の名は。』(2016年)だけに留まらず、『愛の不時着』『刀剣乱舞』『ビューティフルライフ』『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』『自転車屋の高橋くん』『HiGH&LOW』『名探偵コナン』などのパロディとして様々なタイプ&シチュエーション男子が別次元から集まってくるという、もはや『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)や『ザ・フラッシュ』(2023年)などのマルチバース映画状態。

 しかも数分どころか数秒程度の役もあるにもかかわらず、演じている役者が豪華すぎるカメオ出演ラッシュは観ていて単純に楽しい。そんななかに倉悠貴が数秒だけ出演しているが、『平場の月』や『新解釈・幕末伝』、2026年の1月公開『恋愛裁判』、同年2月公開『教場 Requiem』などと、1年間に7本の東宝映画に出演している。東宝に気に入られすぎでは? さらにはバンダイナムコが参加していることで『妖怪ウォッチ』からジバニャンが超重要な役で登場してくる。

 ここでおもしろい設定なのが、新海誠や細田守作品に出演経験があるのは、上白石の姉の上白石萌音であり、『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』(2017年)に出演していたのも萌音のほうだ。それを萌歌が演じているのには、何か皮肉的な意味を感じる。実はやりたかったけど、お姉ちゃんがやっていた映画を再現しているのかもしれないし、何よりラブコメ主演というのはありそうでなかった盲点で、新しさを感じた。続いて2026年1月から放送されるドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』(日本テレビ系)にも期待がもてるほど、今まで様々な作品で小出しにしてきたコミカルな演技に磨きがかかっていて大放出されたようで魅力的だった。

 良い意味で悪意があるとしか思えなかったのは、森香澄の配役だ。原作にも登場するストーカー役に抜擢されたのだが、これが見事にマッチしていて、かつての田中みな実の貫禄を感じた。“あざとい系”として比べられることの多い森だが、役者としても田中みな実の後を継ぐのだろうか……。

参照
https://realsound.jp/movie/2022/07/post-1081564.html

■公開情報
『ロマンティック・キラー』
全国公開中
出演:上白石萌歌、高橋恭平、木村柾哉、中島颯太、髙橋ひかる、伊藤俊介、上坂樹里、森香澄、本多力、藤堂日向、津田健次郎(声)、内藤秀一郎、豊田裕大、藤原丈一郎、佐藤大樹、與那城奨、竹財輝之助、白濱亜嵐
監督:英勉
脚本:山岡潤平
音楽:橋本由香利、睦月周平、設楽哲也
ミラクルテーマソング:なにわ男子「Never Romantic」(ストームレーベルズ)、アオハルテーマソング:INI「True Love」(LAPONE ENTERTAINMENT)、キュンラブテーマソング:FANTASTICS「ずっとずっと」(rhythm zone)
原作:百世渡『ロマンティック・キラー』(集英社『ジャンプコミックス』刊)
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ダブ
配給:東宝
©2025「ロマンティック・キラー」製作委員会 ©百世渡/集英社
公式サイト:https://romakira-movie.toho.co.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/romakira_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/romakira_movie/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@romakira_movie

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる