『フェイクマミー』波瑠の名演光る薫の“自己犠牲” 悪役の“慎吾”笠松将とどう決着がつく?

『フェイクマミー』悪役・笠松将とどう決着?

 嘘にはバリエーションがある。自己愛が強く、欲しいものは何でも手に入れなければ気が済まない慎吾の嘘は全部自分のため。けれど、世の中には薫たちのように誰かを守るために嘘をつく人もいるのだ。

 その夜、薫は竜馬を星が見える屋上に呼び出す。初めは反目し合いながらも、いろはのニセママとニセパパとして互いを支えてきた2人。いつか竜馬が「嘘から出た実って言葉もあります。今は嘘でもいずれ本当になることがあるかもしれない」と言ったように、嘘から始まった関係だったけれど、気がつけば2人の間には本物の愛情が芽生えていたのかもしれない。しかし、薫は「私は竜馬さんがいてくれて心強かったです」と別れの挨拶とも取れる言葉を残し、合同会議でいろはのニセママであることを明かした。さらに隠し子がいる茉海恵を脅し、いろはの母親になりすますことで報酬を得ていたと嘘をつく薫。全ては茉海恵といろはを被害者に仕立て上げ、2人の今まで通りの生活を守るために。

 薫が学校に駆けつけた警察車両に乗り込むシーンでの波瑠の演技が圧巻だった。自分に駆け寄ろうとする茉海恵といろはに薫は冷たい視線を送る。だが、それ自体が世間の人に自分を悪女として印象付けるための薫なりの演技であり、波瑠は難関な二重の演技を見事にやってのけた。茉海恵といろはのために最後まで嘘を貫き通した薫の優しさと強さを兼ね備えた姿は気高く、フェイクという言葉は相応しくない。いろはにとってもう一人の、かけがえのない本物の母親だ。「全部笠松のせい」と言いたくなるほど、悪役っぷり甚だしい慎吾が成敗され、3人が再び笑い合える日がくることを願っている。

『フェイクマミー』の画像

金曜ドラマ『フェイクマミー』

「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」第1回大賞作をドラマ化。正反対の人生を歩んできた2人の女性が、子どもの未来のために“母親のなりすまし”という禁断の契約を結ぶ。

■放送情報
金曜ドラマ『フェイクマミー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:波瑠、川栄李奈、向井康二(Snow Man)、中村蒼、野呂佳代、池村碧彩、橋本マナミ、中田クルミ、 津田篤宏(ダイアン)、筒井真理子、利重剛、若林時英、宮尾俊太郎、朝井大智、筧美和子、浅川梨奈、笠松将、田中みな実
脚本:園村三
演出:ジョンウンヒ、嶋田広野、宮﨑萌加
主題歌:ちゃんみな「i love you」(NO LABEL MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
プロデュース:韓哲、中西真央、唯野友歩
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fakemommy_tbs/
公式X(旧Twitter):@fake_mommy_tbs
公式Instagram:fake_mommy_tbs
公式TikTok:@fake_mommy_tbs

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