興収で読む北米映画トレンド
『プレデター:バッドランド』北米No.1、予測を大きく上回る好発進 話題の新作も複数登場

今年も残すところ2カ月を切り、いよいよ映画業界ではホリデーシーズンへのカウントダウンが始まろうとしている。28年ぶりの低調となった10月の興行を打ち破ったのは、『プレデター』シリーズの最新作『プレデター:バッドランド』だ。
11月7日~9日の北米映画週末ランキングでNo.1に輝いた本作は、週末3日間で北米興行収入4000万ドルを記録。ディズニー/20世紀スタジオは2500万~3000万ドルのスタートを予想していたというから、予測を大きく上回る好スタートとなった。

この初動成績は、『エイリアンVSプレデター』(2004年)を抜いて『プレデター』シリーズ史上最高。海外市場でも4000万ドルを記録しており、全世界興行収入は8000万ドルとなった。製作費は1億500万ドルだから、かなり幸先の良い滑り出しだと言える。
監督・脚本は、前作『プレデター:ザ・プレイ』(2022年)が高い評価を受けたダン・トラクテンバーグ。本作ではシリーズ史上初、プレデターを主人公とする斬新なコンセプトに加え、『エイリアン』シリーズとも世界観を共有。エル・ファニング演じるウェイランド・ユタニ社のアンドロイドと共闘するストーリーとなった。
ヒットの要因は『プレデター』シリーズの変わらぬ人気と、作品としてのクオリティの高さだ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア85%・観客スコア95%という高評価を獲得し、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreではシリーズ屈指の「A-」評価となった。
シリーズの長い歴史ゆえ、観客の年齢層は高めだが、週末の間にも若い観客がだんだん増えていたという。レイティングがPG-13のためファミリー層も狙えること、IMAXなどプレミアムラージフォーマット上映の需要も大きいことは、さらなる飛躍を予感させる要素だ。日本でも公開中。

今週のサプライズは、公開3週目の恋愛映画『Regretting You(原題)』が、映画ファン期待の新作群をおさえてランキングの第2位にとどまったこと。週末興収は712万ドルで、なんと前週比マイナス8.9%(!)という驚異のホールド力だ。『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』(2024年)の原作者コリーン・フーヴァーの同名小説を映画化した本作は、製作費3000万ドルに対し、すでに世界興収7000万ドルを突破している。

第3位は『ブラックフォン 2』で、前週は『Regretting You』との大接戦に勝利してランキングの首位を飾ったが、この週末は3日間で興行収入530万ドル(前週比マイナス36.3%)となった。こちらも同じく製作費3000万ドルに対し、世界興収は1億2000万ドルを超えるスマッシュヒット。日本公開も11月21日に迫ってきた。
第4位には、『シャザム!』シリーズのザッカリー・リーヴァイ出演による実話映画『Sarah’s Oil(原題)』が初登場。自分の土地で石油が採れると信じ、テキサス州で最も裕福になった女性の物語で、北米2410館で週末興収445万ドルを記録した。観客の約半数が55歳以上、3分の2が女性。Rotten Tomatoesで観客スコア98%、CinemaScoreでは「A+」と高評価だが、信仰に基づく人間ドラマとしては珍しくない。




















