『ぼくたちん家』3人の“共同作業”で浮かび上がる社会の生きづらさ ともえの逃亡理由も判明

ともえも吉田も事情は違えど、社会を生きるなかで同じように「なめられている」と感じていた。今まで気づかぬうちに遭遇していた差別や偏見、不平等は、一度、認識してしまったらずっと視界の端に映り込む。見えないように細工された格差を我慢しているともえのような人もいれば、吉田のようにマイノリティであることを隠して生きている人もいる。それは今の現実社会における紛れもない事実だ。
それでも、ともえと井の頭がカフェで話し込んでいる途中に来店して、思わずジャンボパフェを頼んだ百瀬(渋谷凪咲)は、結局、食べきれずに「ぜんぜん無理でした。1人じゃ」と2人をテーブルに呼び寄せる。すべてを1人で抱え込んで解決しようとするのではなく、百瀬のように誰かに頼ることもときには必要で、伸ばした手をとってくれる人もこの世界にはきっといる。そして何よりも、3人での共同作業ならば、ジャンボパフェだろうと、複雑な家具の組み立てだろうと、なんとかなってしまう。
物語のラスト、ほたるの期末テストの結果が返却される。テスト前に勉強を教えてくれた玄一には「私に将来なんてあるんですかね」と諦めの表情を浮かべていたほたるだが、答案用紙に書かれていたのは彼女なりの決意表明だった。
答えの欄を埋める「絶望してるけど/とにかくめちゃくちゃ先には/良くなってるはずだから/生きるしかない」。そのすぐ下には採点した索の「がんばりましょう」と玄一の「がんばったね」という言葉が書き添えられている。
今の社会は生きづらい。それでもずっと先の未来では、社会がいい感じになっているかもしれない。トーヨコの友人・なっち(大島美優)の高校に行きたい理由が「眉毛を細くしたいから」という自由すぎる答えだったように、これから先の人生をどのように生きていくかを選ぶ決め手は、案外そういうのでいいのかもしれない。
玄一の歌声がアパートの敷地に響きわたり、索とは手を握り合っていい感じの雰囲気に。しかし、玄一は余韻をかき消すかのように、初恋の相手である鯉登(大谷亮平)に会いに行くことを決意する。彼らの恋模様は、よりいっそう複雑に入り組んでいきそうだ。
■放送情報
『ぼくたちん家』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子
脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹
演出:鯨岡弘識、北川瞳
インクルーシブプロデューサー:白川大介
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美
音楽:東川亜希子、神谷洵平
主題歌:「バームクーヘン」
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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