白鳥玉季、『ぼくたちん家』の物語を動かす中心人物に 子役からの実力が名助演に結実

10月12日から放送が始まった『ぼくたちん家』(日本テレビ系)。及川光博のGP帯初の主演作、第1回「日テレシナリオライターコンテスト」審査員特別賞を受賞した松本優紀の脚本家デビュー作として放送前から注目を集めていた作品だ。今回は本作のヒロイン・楠ほたるを演じる白鳥玉季を取り上げたい。
白鳥といえば、2010年代を代表する子役の1人。『凪のお暇』(TBS系)での白石うらら役、『テセウスの船』(TBS系)の佐野鈴役など、ランドセルがよく似合う幼い顔立ち、わずかに滲む大人びた雰囲気、大人顔負けの演技力やセリフ回しが記憶に残っている人も多いのではないだろうか。とくに、ブレイクのきっかけとなった『凪のお暇』の白石うらら役では、原作のイラストをそのまま表現したかのようなクールな第一印象と凪(黒木華)に懐いたあとの年相応な表情のギャップを見せ、まるで原作漫画から飛び出してきたかのようだった。うららが、まだ小学生だからこそ凪に伝えられる本質の詰まった言葉も、白鳥が演じていることでより説得力を生んでいたように思う。

活躍はドラマのみに限らない。映画『mellow』や『酔うと化け物になる父がつらい』でも、どこか大人びていたり、環境のせいで達観せざるを得ない役柄を好演。葛藤を抱えて諦めたような表情や、無理しているような笑顔がリアルで、幼い頃からその人物の感情を想像させる芝居を得意としてきた。この子は今何を思っているのだろうかと考えさせられ、画面に映っただけで目を離せなくなる引力を持った子役だった。
そんな白鳥も2025年で15歳。小学生の頃は大人びたキャラクターを演じていたのに比べて、中学生になってからは年相応の役柄を演じることが増えている。
『いちばんすきな花』(フジテレビ系)では、クラスに馴染めず保健室登校を続けている望月希子を演じ、映画『からかい上手の高木さん』では、自身の片思いが原因で、相手の男子を不登校にさせてしまったと思い悩む大関みきを演じた。どちらも等身大の悩みに真っ向から立ち向かい、悪態をついたり落ち込んだりと中学生らしい反応を見せていた。役柄の幅が広がったことで、芝居表現も多彩になっているように見える。
7月クールでは、『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)第4話にゲスト出演し、家庭環境のせいで不安定さのある女子高生・石田葉月を演じた。長年、面倒を見てくれている児童心理司の蒔田向日葵(生田絵梨花)の対応に失望し、敵意を向けるなど、精神面の不安定さと制御できない憤りを、身体全体で存分に表現していた。
身体の成長にともなって、演じる役柄や芝居の幅の広がりを楽しめるのも、子役を見続けることの醍醐味だろう。そんな成長を続ける白鳥にとって、『僕たちん家』はGP帯ドラマ初のヒロイン役となる。

ほたるは訳ありの家庭環境を悲観する様子がなく、どこかあっけらかんとした印象も与えるキャラクターだ。怒りや憤り、焦りを感じさせないニュートラルな役柄を白鳥が演じていることに、少し珍しさを感じてしまう。第1話ではさっそく主人公・波多野玄一(及川光博)を振り回し、泥だらけの3000万円や逃亡中の母・楠ともえ(麻生久美子)の存在など謎多き人物であり、ほたるの存在が物語を動かしていくことになりそうだ。
ほたるは何かに反応してリアクションを見せるというよりは、相手に仕掛けて振り回す役なのかもしれない。これまで受け手として繊細な芝居を見せていた白鳥にとって新境地となる役柄になるのではないだろうか。
■放送情報
『ぼくたちん家』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子
脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹
演出:鯨岡弘識、北川瞳
インクルーシブプロデューサー:白川大介
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美
音楽:東川亜希子、神谷洵平
主題歌:「バームクーヘン」
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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