岡山天音×森七菜、現実と地続きだった『ひらやすみ』の日々 “新品の明日”のきっかけに

岡山天音×森七菜が愛する『ひらやすみ』

 「マンガ大賞2022」第3位に輝き、多くの漫画ファンの心を掴んだ真造圭伍による『ひらやすみ』。何気ない日常の愛おしさを描き出すこの人気漫画が、NHK夜ドラ枠で待望の実写ドラマ化を果たした。

 主人公は、自由気ままなフリーター・生田ヒロト。彼を演じるのは、役柄に応じて変幻自在の表情を見せ、現代の日本映画・ドラマ界に欠かせない存在となった岡山天音。そして、ヒロトの家に同居することになる従姉妹の美大生・小林なつみを、観る者を魅了する森七菜が演じる。

 原作を「ずっと読んでいた」と語る二人は、この物語の持つ特別な空気感をどのように捉え、映像の中に息づかせたのか。撮影現場で現実と物語の境界線が溶けていくような不思議な体験から、共演者との微笑ましいエピソード、そしてこのドラマが現代に届けたい優しいメッセージまで、作品への深い愛情に満ちた言葉で語ってもらった。

声に出てしまうほど美味しい“ご飯”

(左から)岡山天音、森七菜

――原作ファンでいらっしゃったお二人だからこそ、今回の実写化で「ここは見事に映像化されているな」と感じた部分はどこでしたか?

岡山天音(以下、岡山):具体的に「これ」という一つの要素を挙げるのは難しいのですが、作品全体に漂っている“空気感”みたいなものは、すごく原作の印象に近いなと感じました。それは、僕らの芝居だけじゃなく、美術や衣装、ロケーションといった、いろんなチームの集合体の結晶だと思うんです。結果として流れているその空気は、原作が持つ独特の優しい雰囲気をかなり高いレベルで再現できているんじゃないかなと。

森七菜(以下、森):私は、原作でも印象的だった「ご飯」のシーンがすごく好きです。劇中でヒロト君が作ってくれるご飯が、本当に美味しそうで。今回、フードスタイリストの飯島奈美さんが作ってくださったのですが、飯島さんのご飯は、以前別のお仕事でご一緒した時も、本当に普通の家庭料理なのに特別に美味しいんです。まさに「あの平屋でしか食べられない特別感」が、画面を通して伝わってくるんじゃないかなと思います。

岡山:本当に美味しかったよね。撮影が終わった後も、残ったご飯をみんなで完食するまで食べ続けたりしていました(笑)。

――話を聞いているだけでも、現場の温かい雰囲気が伝わってきます。

岡山:あと、本編には使われていないけど印象的だったのが、なっちゃん(なつみ/森七菜)が料理を食べるシーン。設定上は、ヒロトが作った手前、素直に「美味しい」とは言えない、声には出さない場面だったんですけど、あまりに美味しすぎて、思わず声に出ちゃってる時がありました(笑)。

森:ありました(笑)。本当に、それくらい現場のご飯が美味しくて、幸せな時間でした。

岡山天音は「草むらに住んでる人?」

(左から)岡山天音、森七菜

――ヒロトとなっちゃんの「いとこ」という関係性も、この物語の魅力の一つです。恋人でも兄妹でもない、絶妙な距離感をどのように作られていったのでしょうか?

岡山:撮影期間中は、なっちゃんとの時間が本当に多かったんです。ヒロトって、自分にはないものをたくさん持っているなっちゃんのことを、どこか眩しく見つめている瞬間があると思っていて。それは、年下の親戚の子としてリードする部分もありつつ、彼女が持つ天真爛漫さや強さに、ある種の憧れを抱いている。その感覚は、僕自身が森さんに対して抱いていた思いとすごく近くて、芝居とそれ以外の場面での感情が地続きになっていくような不思議な感覚がありました。本当に、なっちゃん役が森さんで良かったと、ヒロトを演じる上で大きな力をもらいました。

森:私も、撮影中は本当にいい意味で、現実との区別がつかなくなる瞬間がありました。あの平屋のセットの草むらでしか岡山さんにお会いしていなかったので、「この人、本当に草むらに住んでる人なのかな?」って本気で思うくらい(笑)。

岡山:ガチでね(笑)。

森:芸能人だということを、たまに忘れてしまうほどでした。岡山さんは、私が今までお会いした先輩の中でも一番話しやすいかもしれないです。この『ひらやすみ』の魔法と、あの夏の撮影でずっと一緒にいた空気感があったからだと思います。寝に帰って、また朝には「おはようございます」って会う毎日だったので。

――その特別な関係性は、撮影が終わった今も続いていますか?

森:東京に帰ってくると、やっぱり「芸能人だ!」ってなっちゃって、あんまり気軽に話しかけられないんですけど(笑)。でも、撮影中に岡山さんにおすすめした恋愛リアリティショーを実際に観てくださって。

岡山:そうそう、すごい面白くて(笑)。教えてもらったやつ、影響受けちゃって。

森:そのシーズン2が始まるので、「観なきゃですよ!」っていう話はしました。平屋の魔法が解けた後も、そういう繋がりがあるのは嬉しいです。

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