吉沢亮、『ばけばけ』がハリウッド進出へのきっかけに? “英語芝居”撮影秘話

髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
第5週では、ついにトミー・バストウ演じるヘブンが本格登場。吉沢亮演じる錦織友一を困らせる自由奔放ぶりも話題だが、その熱演を支えるのは2人に共通する徹底した役作りだ。
第4週で描かれた東京編でも多少の英語を話していた錦織だが、いよいよ英語教師としての本領を発揮。制作統括の橋爪國臣は「英語のセリフが多いことは事前に説明していて、その時点で吉沢さんが英語を話せないことも知っていました。でも、僕は吉沢さんに英語を喋れるようになってほしいとすごく思っていて。これをきっかけにハリウッドに羽ばたいてほしいとも思っていましたし、『そういうきっかけにしませんか?』とキャスティングのときにお話ししました」と打ち明ける。

出演が決まると、吉沢はすぐさま英語のレッスンを開始。演劇界における英語指導者のトップランナー・塩屋孔章のもとで、2024年12月から週3回のレッスンを受け続けてきた。
「噂によると、車の中ではずっと英語が流れていて、移動時間にシャドーイングしているという話を聞きました。レッスンを始めたときと今を比べると、レベルが全然違いますね。耳の良さもありますが、圧倒的に注ぐ時間や分量が多いんだろうなと思います。本当に努力を表に出さない人なので、僕がこんな話をしたら怒ってしまうかもしれませんが(笑)」
一方のバストウについても、「役作りの鬼みたいな人なんですよ」と橋爪。「現場に入ってからというよりは、“それまでに何をするか”を大事にされる方。役に入るための準備にものすごく時間をかけて、現場では役としてそのまま芝居をするような方ですね」と説明する。
バストウがラフカディオ・ハーンという人物を理解するために費やした時間と労力には、制作陣も舌を巻くほど。橋爪は「ハーンの本は膨大な数があるので、恥ずかしながら我々もすべて読んだわけではないんです。でも、トミーは私たちが読んでいないような本まで読み尽くしていて、アメリカ時代に書いた、いわゆる本になっていないような記事まで読んでいる。すごく勉強をして、“日本に来るに至るまでのラフカディオ・ハーンはこんな生き方をしていたんだ”と体に入れてから来てくれました」と振り返る。
「ハーンは毎日、日記をつけるような筆まめな方なんですが、それに倣ってトミーも毎朝、日記を書いているらしいです。ほかにもハーンは煙管(キセル)が好きだったので、ふだんは吸わない煙管を吸っていたり、歩く姿勢まで意識したりと、役になるために生活まで変えているんですよね。彼自身がキャラクターそのものになっているので、お芝居にとらわれず、自由に何でもできるんです」

そんなバストウと吉沢の関係について、橋爪は「とても仲がいいんですよ。2人ともゲームが好きなので、裏ではゲームの話をたくさんしています。そこから話が広がって、2人でいろんなことをしゃべっていますね」と明かし、「役について話していることはほとんどないですが、それはもう体に役が入っていますから。『よーい、スタート』がかかれば、あとは現場で起きることを大事にされているんだと思います」と信頼を寄せる。
「トミーは日本語が日に日にうまくなっているので、日本語ですごく楽しそうに話しています。距離感がよくて、お互いを信頼しているのが伝わってきますし、だからこそ芝居に入るとそれぞれの役にスイッチして、遠慮なく向き合うことができるんだと感じます。それによって絶妙な間合いや、(錦織が)振り回される“あの感じ”が生まれているんだと思います」
今のところ、決して噛み合っているとは言えないヘブンと錦織だが、今後どう関係を深めていくのか。ストイックな役作りから生まれる2人の化学反応も、見どころの一つになりそうだ。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK





















