吉沢亮は『ばけばけ』の“陰の主役” 制作統括も絶賛する“振り回される吉沢亮”の味わい

“振り回される吉沢亮”の味わい

 髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

 第4週では、吉沢亮が演じる松江随一の秀才・錦織友一が初登場。制作統括の橋爪國臣は「吉沢さんのすごさは僕が言うまでもないですよね、『国宝』を観ていただければと思います(笑)」としながらも、吉沢への思いをこう語る。

 「吉沢さんとは『なつぞら』(2019年度前期)で初めてご一緒して、そのあと『青天を衝け』(2021年)で2年半くらいお仕事させていただきました。本当に信頼できる俳優だと思うし、彼ほど役作りしている人はいないと思うくらいストイック。そのすごさを間近でずっと見てきて、ただただ超一流の役者だなと思っています」

 演じる錦織のモデルは、島根出身の教育者・西田千太郎。橋爪は「小泉八雲ファンなら誰もが知る名前。この方がいなければ2人は結びつかず、小泉八雲が日本にとどまることも、この物語が生まれることもなかっただろうという、陰の主役のような人です」とし、「このドラマは“夫婦2人の物語”と謳ってはいますが、事実上、この“3人の物語”だと思うんです。だからこそ本当に信頼できる人にお願いしたいと思って、吉沢さんに聞いてみたところがスタートでした」とキャスティングを振り返った。

 では、西田千太郎とはどのような人物なのか。橋爪は「たくさんの資料が残っている方なんですが、あまり研究されていなくて。これまで“聖人君子で、一流の教育者で、ラフカディオ・ハーンを助けた”という評価がありましたが、資料を読み解いていくと、彼自身にもいろいろな欠点があった。悔しい思いをしたような歴史もたくさんあって、取材を進める中で『何かを成し遂げようとしても、成し遂げきれなかった人なんだな』と感じたんです」と印象の変化を明かす。

 何者でもない人物を描く――。錦織はそんな『ばけばけ』のテーマを体現する人物のひとりで、「吉沢さんには、そういう人間らしさを描きたいと伝えました。『彼は超優秀なのに、なぜ片田舎で英語教師をやっているのか、といったところも含めて、すごく裏がある人物。ドラマの中でもそのあたりは紐解いていくつもりですが、いろんなことを抱えた人物として、その影を出してほしい』とお願いしました」と話す。

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