『鬼滅の刃』『チェンソーマン』劇場版の続編なぜ増加? アニメ産業を支える推し活×映画館

推し活の最前線となっている映画館

映画館という場所は、二次元キャラクターのファンにとって非常に重要な場所になっている。大画面と優れた音響設備を備え、限定グッズも購入できる映画館は、二次元キャラクターにとって最高の晴れ舞台といえる。映画館は「推しの晴れ舞台」なのだ。これが現在のアニメ作品の興行を牽引している主要因だと筆者は考えている。
それは『鬼滅の刃』のような国民的人気の作品であっても『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』といった作品でも同様であり、ファンの規模は異なれど、その晴れ舞台を望むファンに向けて劇場版は制作される。
同時に、放送・配信だけで全てのアニメが黒字化できるわけでもないので、興行収入を上乗せできる点も、ビジネス面で重要である。前述のとおり、アニメ作品の多彩な上映形態は海外にも広がりを見せている。また、海外のアニメファンにとっても映画館は「推しの晴れ舞台」として認知され始めており、同じ作品やキャラクターを愛するファン同士が集まる「オフ会」のような場になりつつある。
クランチロールのグローバル・コマース シニアバイス・プレジデントのミッチェル・バーガー氏にインタビューしたとき、「映画館はまるでミニコンベンションなのです。映画館では、同じ作品を愛する多くのファンと祝っているような気分になれるんです」と語っていたことが印象的だ(※2)。クランチロールは配信と劇場配給を両方手掛けているが、配信は「日常」、劇場は「ハレ」の場となり、両者は相互補完的な関係にあるという。
現在のアニメビジネスを支えるのは、日常に作品を届ける配信と、特別な体験を提供する劇場という、2本の柱で成り立っているといっても過言ではない。この2つの要素がバランスよく存在することが、IPの寿命を伸ばすことにつながるのだと筆者は考えている。
参照
※1. https://branc.jp/article/2025/06/10/1654.html
※2. https://branc.jp/article/2025/06/02/1632.html





















