『19番目のカルテ』魂を震わす杉田雷麟の演技 松本潤が傾聴する患者の心の声

『19番目のカルテ』松本潤が傾聴する患者の声

「いつも気になるんだ。ヒーローは1人でいる時もヒーローなのか。悪役は家に帰っても悪役なのか」

 7月27日に放送された『19番目のカルテ』(TBS系)第2話では、幼い弟を守る兄の苦悩が描かれた。

 魚虎総合病院に救急搬送された岡崎咲(黒川晏慈)。先天性の心疾患を抱え、感染症による発熱と呼吸困難を起こして来院したが、すでに手遅れだった。両親は2年前に離婚し、父子家庭で咲に付き添ったのは兄の拓(杉田雷麟)。しかし、拓には誰にも言えない秘密があった。

 第2話で光が当てられたのはヤングケアラー。「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」がヤングケアラーである。拓がヤングケアラーだと最初に気づいたのは、総合診療科の徳重(松本潤)。咲が搬送されたのは、通常なら仕事か学校に行っている時間で、リハビリ中の父・浩司(東根作寿英)に付き添う拓の笑顔の陰にあるものを徳重は見逃さなかった。

 病気を診て人を見ないなら、それは医療と呼べるのか。『19番目のカルテ』の問題提起は、第2話で患者の家族に向けられた。小児科の有松(木村佳乃)は、咲の周辺を調べ回る徳重に不信感を抱く。専門性の高い医師にとって、自身の専門領域に干渉されるのは耐えがたいことだ。真意を問いただす有松に徳重が答えたのが、拓をめぐるいくつかの状況だった。

 拓を気にかける徳重は、病気につながる因子を見ていたことになる。実際に炎天下で拓は倒れ、居合わせた徳重の処置を受ける。徳重がその場にいたのは、おそらく拓を訪ねるためと思われるが、結果的にその判断が拓を救うことになった。

 そこから拓が機能性神経症状症として確定診断を受けるまでの過程は、総合診療医としての徳重の本領といえる。徳重の拓に対する接し方は精神科のカウンセリングのようだが、特別なことはしていない。「君の話を聞かせて」と言って耳を傾けるのは、言葉にならない拓の心の声だ。

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