『明日はもっと、いい日になる』が描いた“助ける”の形 “蔵田”林遣都の過去が明らかに

『明日はもっと~』が描いた助けるの形

 ある日、美穂が愛菜を家に置き去りにしたまま、行方不明に。そのことから蔵田は愛菜の一時保護を決断。子どもの置き去りはそれ自体がネグレクトとはいえ、叶夢(千葉惣二朗)と奏夢(小時田咲空)に十分な食事と水も与えず、放置していた夢乃(尾碕真花)とは違う。悩みながらも育児と向き合う美穂の「頑張る」を信じたい翼に、蔵田は「あなたが言わせたんじゃないですか? これ以上、何を頑張ればいいんですか 」と声を荒げるのだった。

 夫が長距離トラックの運転手で家を不在することが多いため、ほぼワンオペで育児をこなしている美穂。昔から運動も勉強も苦手で「この子のお母さんだけはちゃんとやろう」と心に決め、ネットで得た知識や育児書をもとに子育てに励んできた。しかし、愛菜は教えたことが一向にできるようにならず、泣いてばかり。その理由も分からず、抱きしめることしかできない美穂は全身からSOSを放っていたように見える。もう十分、頑張ってきた。でもだからこそ、翼は親子を引き離したくなかったのだ。

 それはかつての蔵田も同じだった。まだ新人だった頃、経済的に困っていた家族を担当した蔵田。生活を安定させるために子どもを一時保護するべきという意見もあったが、親子が一緒に暮らせる道を模索し続けた。だが、「一緒に頑張りましょう」という言葉が、もうすでに頑張ってきた両親には負担だったのだろう。親子は失踪し、行方不明に。

 そんな過去があるから、蔵田は一つひとつの親子に深入りする翼が自分と同じ過ちを犯しそうで怖かったのだ。でも、同時にどこまでも真っ直ぐに人を助けようとする翼の姿に感化され始めているのかもしれない。

 美穂を必死に探し出した蔵田は、しばらく愛菜と距離を置くことを提案する。多くの子どもの願いは親と一緒に暮らすこと。だけど、美穂のように子どもがそばにいると自分を犠牲にしてまで頑張ってしまう親もいる。その結果、親が追い詰められ、子どもが危険に晒されてしまうことも。一時的に距離を置かせ、親に頑張らせないようにするのも一つの「助ける」の形だ。

 一方、美穂の件から外され、しばらく一時保護所での仕事を手伝うことになった翼は愛菜の様子を日記に綴り始める。一時保護所で生活するようになってから愛菜は少しずつできることが増えていった。それは美穂の育て方が悪かったからではない。きっと今までも愛菜は美穂に教えられたことを一生懸命に習得しようとしていたのだろう。それがたまたま、離れている間に実を結んだだけ。親の思いはちゃんと子どもに伝わっている。だけど、子育ての仕方が親によって違うように、子どもの成長ペースもそれぞれで、それは誰かと比較するものではない。「子どもも親も一人ひとり違うんだもん。正解も一つじゃない」という南野(柳葉敏郎)の言葉に救われる人は大勢いるのではないだろうか。

 同じように「助ける」にも正解はない。翼が思い浮かばなかった親子を一時的に離すという解決方法を蔵田が導き出したように、互いの思う「助ける」を持ち寄れば、最適解を導き出すことができる。2人の関係はまるで親子のようだ。互いに教え、教えられながら共に成長していくのだろう。

『明日はもっと、いい日になる』の画像

明日はもっと、いい日になる

児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。

■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ashitawamotto/
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