時代を経ても変わらないタカ&ユージのカッコよさ 『あぶない刑事』約40年の歩みを振り返る

『あぶない刑事』約40年の歩みを振り返る

ショットガンとレパードに注目!

 タカの定番といえば、バイクに乗ってショットガンをぶっ放すシーン。タカがショットガンを本格的に使用し始めたのは、劇場版第2作『またまたあぶない刑事』(1988年)からだ。このスタイルは、ドラマ『西部警察』(テレビ朝日系)で渡哲也が演じた大門軍団団長大門圭介へのオマージュだと思われる。大門団長はサングラスとレミントンM31ショットガンをトレードマークにしており、刑事アクションドラマの象徴的存在だった。舘ひろし自身も『西部警察』で巽総太郎(タツ)、後に鳩村英次(ハト)として出演しており、「舘ひろし=バイク」のイメージは『西部警察』からと言われている。『あぶ刑事』のタカがハーレーに乗り、ショットガンをぶっ放す姿は、大門団長のDNAと自身のDNAを平成以降に受け継いでアップデートしたものだろう。今後、後継者は現れるのだろうか。

 ユージの定番といえば、覆面パトカーの日産レパード(F31型)かもしれない。助手席にタカが座る姿が印象に残っている人も多いのではないだろうか。レパードは1986年のテレビシリーズ第1話から登場しており、ゴールド×シルバーのツートンカラーの「アルティマ」が有名だ。その後、前期型から後期型へと変わったり、カラーが濃紺×銀に変わったりするが、定番車両として今も人気を博している。『帰ってきた あぶない刑事』にもゴールドツートンのF31レパードが登場している。この車両は制作発表記者会見や予告編でも使われたが、個人オーナーの所有だという。(※1)

 ちなみに、1986年当時、日産レパードの人気は今ひとつだったようだが、今では中古車が200~400万円のプレミアムカーとなっている。『あぶ刑事』人気で価値が付加された形かもしれない。

愛情のこもった横浜ロケで映し出される街の歴史

 さらに『あぶ刑事』の魅力の一つが、横浜という都市でロケされていることがある。シリーズ開始当初、みなとみらい地区はまだ開発途上で、港町横浜ならではの異国情緒や昭和の面影が色濃く残る街並みが作品のお洒落な雰囲気を醸し出していた。赤レンガ倉庫、横浜中華街、商店街、本牧の米軍住宅跡地や山下橋といった横浜の名所がロケ地として頻繁に登場し、ファンがその足跡を辿る「ロケ地巡り」は今も行われており、SNSなどで確認することができる。

 横浜の都市開発の歴史と『あぶ刑事』38年の歩みは重なり合っており、1980年代から2020年代にかけての横浜やみなとみらい地区の変遷を、映像記録として感じ取ることができる。「神奈川県警察港警察署」は「横浜港警察署」となり、管轄もみなとみらい地区を含む形に変更されている。港警察署として登場する建物の外観も何回か変更されており、第7作『さらば あぶない刑事』での横浜港署は神奈川中小企業センタービルだったと職員がコメントしている。(※2) 第8作『帰ってきた あぶない刑事』ではアクアリアタワー横浜が使われている。

 『あぶない刑事』は、日本における「バディもの」の金字塔として、以降のドラマに多大な影響を与えてきた。後年の『踊る大捜査線』や『相棒』など、主役二人の関係性や掛け合いを軸にした作品が次々と生まれていくことになり、バディものは日本ドラマの一大ジャンルとなったことにも注目したい。

参照
※1. https://www.automesseweb.jp/2024/03/02/1509997
※2. https://www.kipc.or.jp/blog/soumu20240528/

■放送情報
『帰ってきた あぶない刑事』
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、7月4日(金)21:00~22:54放送
出演:舘ひろし、浅野温子、仲村トオル、柴田恭兵、ベンガル、長谷部香苗、土屋太鳳、西野七瀬、早乙女太一、深水元基、鈴木康介、小越勇輝、杉本哲太、岸谷五朗、吉瀬美智子
監督:原廣利
脚本:大川俊道、岡芳郎
製作プロダクション:セントラル・アーツ
配給:東映
©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

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