時代を経ても変わらないタカ&ユージのカッコよさ 『あぶない刑事』約40年の歩みを振り返る

『あぶない刑事』約40年の歩みを振り返る

 『帰ってきた あぶない刑事』が7月4日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。

 本作は『あぶない刑事』劇場版シリーズの第8作。伝説の刑事コンビ(バディ)である鷹山敏樹(タカ)と大下勇次(ユージ)は警察を定年退職し、探偵となっている。1986年10月にスタートしたドラマ『あぶない刑事』38年の歩みとともに、タカ&ユージも齢を重ねたことになる。今や国民的な刑事ドラマである『あぶない刑事』シリーズ(以下、『あぶ刑事』)の歴史を振り返ってみたい。

時代を超えて響く「She's So Good」

 1986年10月、日本テレビ系で放送が始まったドラマ『あぶない刑事』は、舘ひろし演じる鷹山敏樹(タカ/ダンディー鷹山)と柴田恭兵演じる大下勇次(ユージ/セクシー大下)のバディが、神奈川県警港警察署(のちに横浜港警察署)を舞台に横浜の街を駆け巡る刑事ドラマとしてスタート。当初は半年間の放送予定であったが尻上がりで人気となり、放送が1年に延長された。「タカさん」「ユージ」の掛け声やサングラスにブランドスーツの出で立ちなどを真似する人も続出し、社会現象ともいえる状況を生み出した。主題曲の「あぶない刑事(She's So Good)」が流れるオープニングを観ると今でも胸踊る人は少なくないはずだ。

 その後は、続編となる『もっと あぶない刑事』や劇場版、スペシャルドラマが次々と制作され、2024年公開の『帰ってきた あぶない刑事』まで、38年にわたり断続的に新作が発表され続ける国民的人気の刑事ドラマとなった。タカとユージは、まさに「伝説のバディ」といえる。時代ごとにアップデートを繰り返しているが、型破りなバディが横浜の平和を守るという軸はシリーズを通して一貫している。

 『帰ってきた あぶない刑事』では、定年退職後にニュージーランドで探偵業を営んでいたタカとユージが、横浜に戻り「T&Y探偵事務所」を開業している。探偵へ転身しても、タカとユージは横浜を疾駆し続ける。演じる舘ひろしも柴田恭兵も70代であるが、年齢を感じさせない疾走シーンやアクションも見どころだ。

タカ&ユージ、トオルをはじめとする魅力的なキャラ群

 シリーズの根幹となるのは、もちろん、タカ&ユージのバディの活躍。クールでダンディーなタカ、ユーモアと俊敏さを兼ね備えたセクシーなユージ。二人の絶妙な、ユーモラスだけど、時にはシリアスな掛け合いと、アクションと全力疾走、どんなピンチでも切り抜ける姿が共感を集めた。CGなしで撮影されたど迫力のカーアクションも必見だ。

 仲村トオル演じる町田透(トオル)も欠かせない存在。いわゆる女好きな性格でそこをイジられたり、銃器を調達したりと重要な役回りである。ドラマ1作目では新人刑事であったことから、『あぶ刑事』38年の歩みはトオルの成長譚にもなっている。ちなみにトオルは『帰ってきた あぶない刑事』では課長となっている。浅野温子演じる真山薫(カオル)はタカ&ユージの親友として存在感を発揮する。彼女が披露するコスプレが視聴者の話題になることも多い。

 シリーズを通じて、登場人物たちのプライベートや過去が長々と語られるようなシーンや紹介は少なめだと思う。それもあり、視聴者はちょっとしたセリフや持ち物、貼り紙などからキャラクターそれぞれの事情や背景を推理するのも『あぶ刑事』の楽しみの一つとなっている。印象的なシーンがシリーズ内で後に引用されることもあるので、どこから観ても楽しいが、放映順に鑑賞した方が登場人物や人間関係、背景が理解でき、より深く楽しめるかもしれない。

「こまけぇことはいいんだよ」風でいて、実は繊細

 『あぶ刑事』では、刑事による銃撃戦など一見すると荒唐無稽な場面が続出するが、ディテールには強いこだわりが見られる。それは上で記したような登場人物の背景情報に始まり、ファッション、アイテムなど多方面にわたっている。ゲームでいえば、クリア後も深くゲームを楽しめる「やり込み要素」があるが、『あぶ刑事』の場合、「観直し要素」が豊富なのが特徴だ。

 そして『あぶない刑事』がそれまでの刑事ドラマと一線を画した最大の特徴とされるのが、ファッションと演出の新しさにあった。タカとユージは、ダブルのスーツやサングラスを颯爽と着こなし、アクションシーンでも都会的なスタイリッシュさを失っていなかった。これはモデルの一つとされるアメリカの刑事ドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』からの影響も大きかったといわれている。時代ごとに最新のアイテムへとアップデートされており、登場するアイテムの「品番を知りたい」という問い合わせや検索も多いようだ。

 音楽にもこだわりが見られる。主題曲の「あぶない刑事(She's So Good)」は都会的なセンスで、ドラマのお洒落で軽やかなイメージを印象強いものとしている。全編を通して、きらびやかで洗練された音楽に彩られているのも『あぶ刑事』の特徴の一つだろう。

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