『あんぱん』戦後の“人間の強さ”感じる第2章 のぶとメイコはそれぞれの“夢”へ

少し落ち込みつつも、記事を書けることは変わりないと、のぶは取材を続ける。そんな彼女の明るさは、東海林(津田健次郎)を優しく照らした。そして、それは隣にある希望につながった。嵩と健太郎(高橋文哉)が進駐軍のガラクタを売っていた場所に通りかかった東海林は、米国誌『HOPE』を手に取る。夕刊がダメなら雑誌だ。東海林は、5円で購入できる希望に出会ったのだ。

一方、東海林が購入した『HOPE』は、嵩にとって漫画への情熱を思い出させてくれるものだった。目を輝かせてアメリカの漫画を読んでいた嵩に気づいていた健太郎は、嵩に万年筆をプレゼントする。嵩も次の一歩に向けて、ペンを取る日がやってきた。売ればそれなりの値段になる万年筆を渡して、漫画を描けと言ってくれる健太郎の優しさが嵩の未来を照らす。

場面が変わり、朝田家の蘭子(河合優実)とメイコの部屋では、メイコがある夢を口にした。ラジオの『のど自慢』に出るために、東京に行きたい。第67話で、キラキラした瞳でラジオから流れる『のど自慢』を聴いていたメイコ。今回は、蘭子にすがるときの末っ子らしく甘える声色、少し恥ずかしそうでありながら、真剣さの見える表情などから、メイコらしさと夢への実直さが伝わってきた。メイコの夢がどこにつながっていくのか楽しみだ。
週タイトルの「幸福よ、どこにいる」を借りれば、のぶと東海林の幸福は闇市に、嵩の幸福は、アメリカと漫画と健太郎からのプレゼントに、メイコの幸福はラジオの中にあった。どんなときも希望と好きなものへの情熱を忘れずに、少し外の世界に目を向けてみると、偶然幸福に出会えたり、誰かが背中を押してくれたりするものなのかもしれない。
まだ元通りとはいえない戦後の日本。第2章とも呼べる『あんぱん』高知新報編は、絶望の中にも確かにあった人間の強さを感じさせてくれる。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















