『あんぱん』戦後の“人間の強さ”感じる第2章 のぶとメイコはそれぞれの“夢”へ

新聞記者として新たな道を進み始めたのぶ(今田美桜)。NHK連続テレビ小説『あんぱん』第68話では、のぶに一足遅れて、嵩(北村匠海)とメイコ(原菜乃華)の夢への入り口も描かれた。
取材姿も板につき、自然に子どもたちへ取材をするのぶ。進駐軍にもらったチョコレートを美味しそうに食べる子どもたちが望む未来は、ささやかだった。「元に戻ってほしい」「あたたかい布団で寝たい」「お父さんを返してほしい」。小さくて、でも切実で、今すぐには叶いそうもない願いだ。「お父さんを返してほしい」に至っては、叶えることはできない。子どもたちから語られる戦争の爪痕は、素直だからこそ生々しい。

少し前ののぶなら、子どもたちを教育していた立場として、少なからず罪悪感に駆られていたところだ。しかし、ペンを持ったのぶはもう落ち込まなくなった。記事を書いて、子どもたちの生の声を届ける。のぶにとって、記者の仕事は罪滅ぼしの一種、正義を捉え直すことになっているのだろう。
のぶが幼い頃のようにキラキラとした瞳で仕事に邁進する一方で、現実はそううまくは進んでくれない。進駐軍の意向で夕刊の発刊を推奨したものの、結局はこれまで通りのルールに引きずられ、高知新報での夕刊発刊は中止になってしまった。

琴子(鳴海唯)とやけ酒ならぬやけ雑炊をかき込むのぶ。夕刊発刊という新たな一歩を踏み出せると思ったところ、つまずいてしまった。琴子も仕事も結婚相手探しもうまくいっていないようだ。のぶと比べると、古い価値観を持っているように見える琴子だが、女学校を卒業してから花嫁修行をしていた彼女にとって、結婚は1つの成果となるものなのだろう。琴子のモデルと思われる女性記者・深田貞子の経歴を踏まえると、琴子にも仕事に対する意識が変わる転換点が訪れることもあるかもしれない。




















