鳴海唯が朝ドラに帰ってきた! 『あんぱん』ギャップが魅力の琴子役で意識した点とは?

「何のために生まれて、何をして生きるのか」
誰もが知る「アンパンマンのマーチ」の歌詞に込められた深いメッセージ。その作者・やなせたかしと妻・暢の人生をモデルとした朝ドラことNHK連続テレビ小説『あんぱん』が、第13週より新章に突入する。
新たな舞台となるのは、主人公・のぶ(今田美桜)が入社することになる高知新報。第64話にて、高知新報の社員・東海林明(津田健次郎)と岩清水信司(倉悠貴)が登場したが、彼らと同じくのぶと一緒に働くことになるのが、鳴海唯演じる小田琴子だ。
「逆転しない正義」というやなせたかしの哲学に触れて感じた思いや、振り幅のあるキャラクターである琴子役へのアプローチなど、鳴海にじっくりと話を聞いた。
琴子はただ明るいだけのキャラにはならないように

ーー2024年末にもインタビューをさせていただきました(鳴海唯が『Eye Love You』など躍進の2024年を経て目指すもの 「正解がないからこそ楽しい」)。2025年上半期も『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)、村上春樹さんの小説『神の子どもたちはみな踊る』を原作とした『地震のあとで』(第2話「アイロンのある風景」)に出演と活躍が続いています。『地震のあとで』は全4話の中でも鳴海さんが出演している第2話が一番心に残っています。
鳴海:ありがとうございます。本当に嬉しいです。震災を題材にした物語であることもあり、いつも以上に責任感を持って作品に臨みました。村上さんの作品に自分が携わる日が来るなんてという驚きもありつつ、正解が用意された作品ではなかったので、撮影が終わった後も考えることが多かったです。なので、視聴者の方から良かったと言っていただけて、初めて救われる思いがありました。
『地震のあとで』“焚き火ドラマ”として衝撃の第2話 原作小説の先の世界を描いた恐ろしさ
土曜ドラマ(NHK土曜夜22時枠)で放送されている『地震のあとで』は、村上春樹の小説『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社)を原作…
ーー地上波のドラマで「焚き火」が中心となる作品は非常に珍しいと思います。
鳴海:テレビドラマであそこまでの暗さでドラマが展開されていくこともないと思うので、いろんな意味で攻めた作品ではあったのかなと思います。焚き火の準備もすごく時間をかけてやっていたので、スタッフ・キャストみんなが思い入れのある作品になりました。共演した堤(真一)さんは小学生の時から好きな俳優さんで、地元が実は一緒なんです。黒崎(煌代)くんも同じ兵庫県出身ということもあり、全員が阪神・淡路大震災の経験を受け継いでいる連帯のようなものがあったように思います。

ーーそして、6月30日から朝ドラ『あんぱん』に鳴海さん演じる小田琴子が登場します。琴子の明るいキャラクターは鳴海さんにすごくピッタリだと個人的に感じました。
鳴海:ありがとうございます。琴子はお酒好きで、明るいキャラクターですが、戦争を生き抜いた女性でもあるので、きっとつらい経験もしているのではないかと考えました。なので、ただ明るいだけのキャラにはならないように表現できれば、琴子が人間味のある人物になるのではないかと意識していました。中園(ミホ)さんの台本を読んでいると、高知新報のみんなが動いている様子が映像として頭に浮かんでくるんです。そうなることは決して多くないので、本当に面白い台本です。そして、中園さんの琴子への愛もすごく感じました。演じることができてとても嬉しいです。
ーー『あんぱん』はしばらく戦争の影が物語に色濃く出ていましたが、高知新報編から雰囲気がガラッと変化しそうですね。
鳴海:はい。制作陣の方々からも、「自由で活気にあふれた開放感のあるパートにしたい」と最初にお話いただきました。ガラッと作品の雰囲気も変わって、また新しい『あんぱん』をお届けできると思います。とにかく津田(健次郎)さんと倉(悠貴)くんの掛け合いが面白いので楽しみにしていただきたいです。

ーー琴子は職場ではおしとやかで、オフのときは大のお酒好きで口調も変わるというギャップが魅力的です。
鳴海:私自身はお酒は体質的に強いわけではないのですが、誰かと飲んで話をするのは大好きなので、その点は似ているかもしれません。ただ、琴子のように突然饒舌になったり、泣き出したりはしたことがないので、その点は想像をしながら演じていました。琴子はお酒好きということで屋台のシーンが多いのですが、それが撮影の最終日だったんです。琴子にとっても、物語にとっても重要なシーンとなっているので、その日までプレッシャーはありました。