菅田将暉が考える“100年先の未来”とは? 「なるべく今を残せるように」

菅田将暉が考える“100年先の未来”

 台湾出身の新星スリ・リンが主演を務める放送100年特集ドラマ『火星の女王』(NHK)が12月13日より毎週土曜に全3回で放送される。本作は、火星に10万人が移住した100年後の世界を舞台にした、直木賞作家・小川哲原作のSFサスペンス。本作で、スリ演じる火星生まれで視覚障害を持つリリ-E1102の恋人で、惑星間宇宙開発機構(ISDA)の研究員アオトを菅田将暉が演じる。そんな菅田に、自信を“憧れの俳優“と語るスリとの共演や、100年先の未来のためにやっていきたいことについて話を聞いた。

100年後の世界が舞台のSF作品で感じた“人の温度”

――台本を読まれて、作品に対してどのような印象を受けましたか?

菅田将暉(以下、菅田):本作は100年後を舞台にしたSF作品で、科学技術に関する専門用語も多いですし、僕たちがイメージできる範疇の外にあるものも当たり前に入ってくるので、最初は物語の全体像を捉えるだけでも時間がかかりました。だから、普段以上に質問をたくさんしました。そのたびに(西村)武五郎監督が「このシーンはこれがレアで」「この美術が大変だったんです」ってすごくハートフルに説明してくれるんです。そのロマンと愛がたくさん詰まっている物語だなと思います。

――SF作品ならではの撮影だなと思われた瞬間はありましたか?

菅田:僕が演じるアオトは本編ではずっと地球にいるので、実は普段の撮影とあまり変わらなくて。フィジカルだけで撮影に臨んだノーCG俳優です(笑)。北村役の滝藤賢一さんと20kgくらいの荷物を背負って、ずっと西伊豆の山を登っていました。完成映像で火星パートを初めて観たら、すごくサイエンスな世界が広がっていて、どうやって撮影したんだろうと気になりました。

――完成映像をご覧になった際、特に印象的だったシーンやキャラクターはありますか?

菅田:菅原小春さんが演じるマルと、岸井ゆきのさん演じるチップがカッコよかったです。めちゃくちゃ強そうな2人の火星でのやりとりが個人的に好きです。そういえば、一度プライベートで岸井さんと遭遇して。ボクシングジムだったんですけど、何かの撮影に向けた練習かなと思っていたら、この『火星の女王』のためでした(笑)。

――本作への出演が発表された際、「想像の先の先をイメージしながらのお芝居は、未知との遭遇の連続でした。しかし、進化したテクノロジーの隣には、良くも悪くも変わらない体温がありました」とコメントされていたのが印象的でした。具体的にどのような場面でそう思われたのでしょうか。

菅田:このドラマでは多くのキャラクターがモビィと呼ばれる同時翻訳機能が搭載されたイヤホンを装着していて、言語が違ってもリアルタイムで会話が可能なんです。だから、海外の俳優さんも母国語でお芝居されているんですが、現場の記録さんが大変そうでした。「そこのインド人の方、今のアドリブなんて言いました?」「フランス人の方、なんて怒ってましたっけ?」って。やってること自体はすごくハイテクだけど、結局はアナログ的な人の力も必要だと思いました。ラストも、進化したテクノロジーの先にも人の温度がちゃんとあることを感じられるシーンになっているので楽しみにしていてください。

地球と火星の遠距離恋愛は「すごくロマンチック」

――ズバリ、火星には行ってみたいですか?

菅田:行きたくないかなぁ(笑)。「髪、切りに行ってくるわ」くらいの感覚ですぐ行けるなら考えますけど、多分半年どころじゃ済まないですよね。 ただ、地球の3分の1と言われている重力が実際どのくらいなのかとか、興味はあります。

――たしかに家族や友達ともしばらく会えないですもんね……。アオトとリリを見ていると、地球と火星の遠距離恋愛も大変そうだなと思いました。菅田さんは2人の関係をどのように見ていましたか?

菅田:ラブストーリーだけど、やっぱり今までのものとは全然違うし、すごくロマンチックですよね。物理的な距離もタイムラグもあるので、地球上のカップルが当たり前のようにやっていること、例えばプレゼントを贈ることもできないわけじゃないですか。それ以前に、リアルタイムで言葉を交わせるということ自体がすごく貴重。だから、アオトとリリのシーンではできるだけ気持ちの良いやりとりがしたいなと思っていました。

――それは、例えば日本と海外での遠距離恋愛とはまた違うと思われますか?

菅田:単純に日本と海外なら、現代でも同時通話ができますよね。でも、地球と火星の場合は通信の際に10分くらいのタイムラグが発生するので、どうしたってリアルタイムで繋がることはできない。この物語が描いているのは100年後だけど、そこだけは時代を逆行しているような気持ちになりました。

――スリ・リンさんとは現場でどのように過ごされていたのでしょうか。

菅田:初めて顔合わせをした日がスリさんのギターの練習日だったので、一緒にギターを触ったり、弾き語りで歌ったり、本当にアオトとリリのような感じで過ごしていました。スリさんはすごく自然体でチャーミングな方なので、楽しい時間でした。あと普段はもちろん、歌っている時の声がすごく綺麗だなと。

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